本作はタイトルのとおり、国連宇宙軍の調査船機関主任カメリア少尉が「このまま軍に居ていいのか?」と悩みつつ居場所を見つける物語である。彼女は決して無能ではない。それどころか、宇宙船の窮地を巧みなオペレーションで救い、フィジカルAIたちの不具合を直す「医者」として感謝され、終盤にもまた急造砲撃オペレーターとして敵を退ける。だが軍で出世すればするほど最前線に送られるジレンマを感じているのだ。
そんな彼女の紆余曲折がメインストーリーなのだが、本作の白眉は物語のそこかしこに登場するAIの描き方である。現実の我々の生活もすでにAI群に囲まれていて、便利さを享受する一方、そこはかとない不安も感じている方も多かろう。しかし本作のAIは依然として人類がその手綱を握りつつ、頼りになるパートナーであり、ユーモラスな友人たちでもある。カメリアが最後に「百点満点」の居場所に辿り着くのも人事AIと良き上官の共同作業によるものだ。
作者の天野橋立氏は家庭用コンピュータ黎明期からのユーザーであり、その経験が適切な距離感と愛情をもってAIを描くことにつながっているのではないか。SFとはそもそも夢や希望を描くものだったと思い起こさせてくれる良作。