最新話まで読ませていただきました。
冒頭で道の駅建設をめぐる住民投票の結果を先に描き、そこから九ヶ月前へ遡って山中さんが雨実村へやって来る構成が印象的でした。最初に「この村の未来を決めるところまで行く」と分かっているので、ここからどのように住民との関係を築き、あの投票へ辿り着くのか気になります。
特に好きだったのが、「ここは夢を売る課ではない、生活を預かる課だから」という言葉です。移住希望者に良いところだけを並べるのではなく、合わない可能性や逃げ道まで含めて伝える姿勢に、この作品が描こうとしている地方暮らしの現実がよく表れているように感じました。
桜の観光客が増えるエピソードも面白かったです。人が来ること自体は村にとって嬉しい一方で、生活道路が塞がれたり、住民から苦情が出たりする。「盛り上がること」と「そこで暮らす人を守ること」が必ずしも同じではないという描写がとても現実的でした。
「盛り上げるのは誰でもできる。片付けるのは俺たちだけ」という言葉も印象に残っています。華やかな地方創生ではなく、その後に残る問題まで引き受ける人たちの物語として、これから山中さんがどんな選択を重ねて冒頭の住民投票へ繋がっていくのか楽しみです。