第7話 近づいていく距離
ミテパリは、いつものように配信をしていた。
特別なことがあるわけでもない。
車を走らせながら、リスナーたちと他愛もない話をする。
そんな配信の中で、ミテパリはふと話した。
「海に行きたいなぁ。日の出、見に行きたい」
何気なく話したその言葉を、聞いていたリスナーがいた。
ここでは、その二人を
(仮)**トイレ**と(仮)**ペーパー**としよう。
トイレとペーパーは夫婦だった。
二人は以前からミテパリの配信を見ていて、
日の出を見に海へ行くという話も聞いていた。
そして当日。
いつものように配信をしながら海へ向かい、
日の出を待っていたミテパリの前に――
まさかの二人が現れた。
いわゆる「凸」だった。
「え!? 本当にいる!?」
画面の向こうにいるはずのリスナーが、
突然、目の前にいる。
ミテパリは驚きながらも、その出来事を楽しんだ。
この“日の出凸”をきっかけに、
トイレとペーパーとの距離は一気に縮まっていった。
そして、また別の日。
いつものように車を走らせながら配信をしていると、
ミテパリが時々利用するスーパーの近くを通りかかった。
するとコメント欄に、一つのコメントが流れた。
(仮)**さくらんぼ**だった。
「そのスーパー、私よく行くんです」
「えぇ!? じゃあ、今まですれ違ってるんじゃない!?」
思わぬ共通点に、ミテパリは興奮した。
何気ない一つのコメント。
けれど、それをきっかけに
さくらんぼとも少しずつ仲良くなっていった。
トイレ。
ペーパー。
そして、さくらんぼ。
三人は次第に、毎日のように配信へ遊びに来てくれる存在になった。
コメント欄を開けば、いつもの名前がある。
配信を始めれば、自然と集まってくる。
画面越しだったはずの人たちが、
少しずつミテパリの日常の中に入り始めていた。
その頃のミテパリは、
これからもこんな楽しい日々が続いていくのだと思っていた。
――そんなある日のことだった。
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