第52話 魔王城 残されたジュウザ

黒い闇が散り、拳を交えたまま消えていったドヴォルザークの残滓を前に、ジュウザはただ立ち尽くしていた。


拳を握ったまま、肩で息をしながら、彼は誰にも聞こえないほどの声でつぶやく。


「最強の証明がまた遠退いた……」


拳を交えたまま終われなかった悔しさ。

戦士としての決着をつけられなかった痛み。

胸の奥に、じわりと刺すように残る。


「もし、オレが大魔王ルナと闘っていれば……

 こんな思いしなくて済んだのかな……」


だが――

その悔しさの奥で、別の感情が静かに灯る。


シノとティアラの勝利。


ジュウザは拳を握りしめ、ゆっくりと空を見上げた。


「……やったな、兄弟……」


黒煙の向こうで、シノとティアラが倒れながらも生きている気配がする。


「……全部終わったんだな……」


その顔には、悔しさと誇りと、仲間への喜びが混ざった複雑な笑みが浮かんでいた。


戦士としての未練。仲間としての誇り。そして――また拳を交える日への願い。


ジュウザは静かに歩き出した。

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