大鍋ではなくホットスターラー、魔導書ではなくスパコン──現代的な研究者のように魔法を扱う“魔女”の隣で、ボクはいつも彼女の話を聞いていた。学会へ飛行機で向かう白衣の魔女は、どんな難題も論理で解き明かすのに、恋の魔法だけはどうにも上手く使えない。その不器用さがどこか愛おしく、詩のようでも短編のようでもある語りは、彼女の孤独や優しさをそっと浮かび上がらせる。魔法と科学が同居する不思議な日常の中で、ボクが見つめた“ある魔女の話”が静かに胸へ染みる一作。