「人間とAIが、同じストーリープロットから小説を書いたらどうなるのか?」
そんな比較企画から始まった作品ですが、読んでみると面白いのは、単純な文章力の比較ではありません。
同じ設定、同じ出発点から始まったはずなのに、人間版とAI版では少しずつ人物の解釈や伏線の張り方が変わり、やがてそれぞれが別の物語へと枝分かれしていく。
第1話からして、その違いがはっきりしています。
人間版では「師匠ちゃん」という存在が主人公の人格や戦闘能力、生活能力にまで深く影響しており、魔王との出会いもコミカルな掛け合いを中心に展開します。
一方のAI版では、魔王城の「攻略させるために作られたようなダンジョン」という違和感から、魔王の真意へと主人公が論理的に迫っていく構成。
同じ「勇者と魔王」「冒険者ギルド」という骨格でも、そこへ至る道筋が違うのが興味深いところです。
そして何より面白いのが、この比較そのものが連載によって破綻していくところ。
最初は「どちらが面白いのか」を比べる企画だったものが、物語が進むにつれて、両方にしかない設定や伏線が生まれてしまう。
そうなると、もう単純な比較はできません。
むしろ、
「同じプロットを与えても、書き手が違えば物語はどこまで変わっていくのか」
という実験そのものが、作品のもう一つの見どころになっています。
AI小説に興味がある人はもちろん、創作論やプロット構築に興味がある人にも面白い作品だと思います。
そして、比較企画が終わった後に、この物語がどこへ向かうのか。
そこも含めて追ってみたくなる作品です。