第13話 「夕凪」
(信号待ち)
高瀬はゆうの視線に気づく
高瀬
「水野さん
お腹…すきませんか?
もしよかったらこの近くによくいくご飯屋さんがあるんですが…」
ゆうは静かにうなづいて
「確かにお腹空きました
海があまりにもきれいでなんか景色にのまれちゃって笑」
「そういえばご飯まだでしたよね?笑」
高瀬
「じゃあ、僕に任せてもらえますか?
和食のお店なんですが…」
ゆう
「和食いいですね!
そこで、お願いします」
そのお店はそこから10分ほど走ったところにあった
大通り沿いの路地を入ったところにあり、
大きなのれんに「夕凪」と書いてある
高瀬
「ここです,
多分この時間は空いてるはずなのですが、ちょっと中見てきますので、ここで待っててもらえますか?」
(「夕凪」…)
(海ドライブからの夕凪
なんか…海繋がりすぎる…笑)
(でも、いつもいくお店って言ってたから
そんな深い意味はないんだろうな…)
高瀬
「水野さん、席空いてそうなので入りましょう」
ゆう
「あ、はい!」
高瀬
「少し騒々しいかもしれないのですが、大丈夫ですか?」
ゆう
「全然大丈夫です、むしろそう言うお店好きです」
高瀬
「それならよかった」
こじんまりとした店内は
古民家を思わせるような作りでどこか懐かしさを感じさせる
入ってすぐにカウンター
その後ろに小上がりがあり
テーブルが3つほど並んでいる
こちらへ
店員に促され一番奥のテーブルにつく
どうやら先ほど客が帰ったばかりのテーブルを急いで片付けてくれたようだ
ゆう
「いつもここにくるんですか?」
高瀬
「はい、よく…
前ほどではないですが
仕事帰りに寄ったり…が多いですね
何、食べますか?」
小筆で書かれた年季の入ったメニューを開いてくれる
定食がメインのようだ
一品料理もあるが品数はあまり多くない
ゆう
「そうだなぁ
んー、これも美味しそうだし、これもいいなあって」
高瀬
「どちらも美味しいですが…
ちなみに僕のおすすめはこれです
これ、実は常にメニューにあるわけではなくてその魚が入った時だけなので」
ゆう
「そうなんだ!?
それは惹かれますね」
高瀬
「そうじゃないかと思いました
水野さん、新作とか期間限定のパンよく買ってますし」
ゆう
「確かに…そうですね
って、高瀬さんよく見てますね」
ゆうはなんだか嬉しくて、つい口もとが緩んだ
高瀬
「いや…そういうわけではないのですが…」
(そう言うわけじゃなかったのか…)
高瀬
「水野さんが新作食べる時、必ず僕に試食させようとするから
そう言うの好きなのかと思って…」
ゆう
「あはは
そうかもしれない」
(いや、やっぱりめっちゃみられてない?)
初めて会ったレストランではとてもこんなふうには話せなかった
また…
話せるようになるとも思っていなかった
ご縁って何がきっかけになるかわからないな
ゆうはそんなことを思いながら料理が来るのを待った
高瀬のおすすめはほんとに美味しかった
きっと、今日だから余計に美味しく感じたのかもしれない…
入った時には気づかなかったが
壁横に夕凪の写真が飾られていた
ゆうはそれをみて
さっき二人で見た海を思い出していた
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