勘違い探偵・赤井リコ太郎の事件簿

転倒坂 ころ介

第1話 リコピンはトマトだけに宿る!?

 赤井リコ太郎は、町内で有名な“自称”名探偵だった。推理力はそこそこ、観察力はまあまあ、思い込みは超一流。



 そんな彼の座右の銘はただひとつ。



「リコピンはトマトにしか存在しない。これは宇宙の真理である」



 ある日、町の健康マニア・スイカ沢さんがこう言った。



「リコ太郎さん、スイカにもリコピンが入ってるんですよ」



 その瞬間、リコ太郎の目がギラリと光った。



「ほう……つまりあなたは、トマトの権威を揺るがす危険人物というわけですね」



 スイカ沢さんはただの善良な住民である。しかしリコ太郎の脳内では、すでに巨大な陰謀が渦巻いていた。



 ◇事件はスイカ売り場で起きた



 翌日、リコ太郎はスーパーのスイカ売り場に潜入した。 サングラスに trench coat、完全に怪しい。



「ふむ……この赤い果肉……まさか本当に……?」



 恐る恐るスイカを手に取ったそのとき、背後から声がした。



「リコ太郎さん、スイカにもリコピンありますよ。普通に」



 振り返ると、栄養士の資格を持つ店員・栄養寺さんが立っていた。



「トマトだけじゃなく、スイカ、グァバ、ピンクグレープフルーツにもあります」



 リコ太郎は震えた。



「な、なんだと……!? では私は今まで……トマトだけを信じて……毎日3個も……」



 ◇名探偵、真実に目覚める



 その夜、リコ太郎は机に向かい、真剣な表情でメモを取っていた。



  ・リコピンはトマトだけではない



  ・赤い食材に広く存在



  ・トマトは確かに多いが、スイカも侮れない



 そして、彼は静かにこうつぶやいた。



「……真実はいつも赤い」



 決め台詞としては微妙だが、本人は満足している。



 翌日から、リコ太郎は町の人々にこう言って回るようになった。



「リコピンはトマトだけじゃない。これは宇宙の真理である」



 思想は強いままだった。

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