全編通してかっこいい。一言で言えばスタイリッシュ。
最初っから登場してくる人物を中心に、会話がとにかくお洒落です。
言葉の端々にインテリジェンスを感じさせられるというか。
とはいえ、別に衒学的なわけではありません。押しつけがましくない、だけど、お洒落。
血なまぐさいシーンは多いんですが、それさえも軽やかなジャズのアドリブ演奏の中で展開しているような、そんな気分になります。動きの描写に無駄がなく、もちろん不足もなく、そのためにすらすらと読めて頭の中で遅滞なく映像化される……そんな体験をしました。
また、バックボーンにある重厚なSF描写。これもしっかり描かれているんですが、まったく無駄がない。冗長さを感じません。仔細は思い切って末尾の用語集として切り離したことが功を奏したと言えるでしょう。おかげで脳内動画変換を阻害されることなく、すらすらと読めました。おそらく、SFにそれほど親しんでいない方でも、まったく問題なく読めるんじゃないかと思います。情報量も私にはちょうどいい塩梅でした。
ネタバレは防止したいのであまり突っ込んでは書きませんが、とにかく展開がアツいです。序盤からカッ飛ばしているんですが、体感どんどん加速していたと思います。終盤は一気に読まざるを得ない――というくらいのテンションと熱量でした。
※6万文字弱の本作ですが、満足度的には十数万文字の長編を読んだくらいです。