この作品は、極端な偏食という変わった設定から始まり、「食べたい」という気持ちと「好き」という感情の境界が少しずつ曖昧になっていく、コミカルなファンタジーBLだと思います。
転校生の光が出会った静夢は、いつも眠そうで、日光が苦手、固形物も食べられないという不思議な美少年です。そんな彼の偏食事情が明らかになるにつれて、二人の距離も一気に縮まっていきます。
特に面白いのが、静夢自身にも光へ惹かれる理由がどこまで食欲で、どこからが好意なのか分かっていないところです。そして光もまた、自分ではなく自分の血が好かれているだけなのかを気にし始め、いつしか静夢本人を強く意識するようになります。
会話のテンポが軽快で、少しズレた静夢と、それに心の中で全力でツッコミを入れる光の掛け合いも読みやすく、二人の関係が自然に変化していくところが魅力です。
単なる変わった吸血設定のラブコメではなく、理由の分からない「好き」が少しずつ形になっていく過程を描いているところが印象的でした。
序盤までの紹介となりますが、軽快な掛け合いの中で少しずつ恋心が育っていくBLが好きな人にはおすすめの物語だと思います。