故郷、それは人それぞれのアイデンティティに深く関わるもの。
いわゆる地方で育った人間と、都会で育った人間――それぞれの故郷への関わり方は異なるのかも知れません。
主人公の由依は地方出身かつ実家と折り合いが良くない女性です。
一方、同居人の笙子は都会出身で、故郷を遠くに持つシチュエーションにあこがれていると言います。
ふたりで由依の故郷へと向かい、ふたりで由依の記憶を辿っていくその行程。
過去は決して楽しいことばかりではないけれど、それは未来で浄化できることもある。
ラスト一文に救われる、そんな素敵な作品です。