第49話 ジーラッド戦(1)
戦端が開かれて1週間
ヴィットマン辺境伯部隊は快進撃を続けていた。
ちょっとした防壁がある集落を2つ落とした、全く反撃らしいものは無いが相変わらず全員退去を命じているのに教会には人が残っていた。
どうやら教会の偉い人が領主の様な扱いで自分の権力と財産を手放したくないので居残っている様だ。
(なんとも欲の皮がつっぱった聖職者である)
2箇所とも有無を言わせず榴弾で吹っ飛ばした。
後詰の騎士団が中々追いついて来ないが、反撃を誘うために敢えて突出して孤立しそうな感じを装ってみている。
そろそろ敵と交戦して戦力を削っておきたいところだ。
道中街道を普通に進撃しているが待ち伏せすらない、焦土戦術を取ってすらいない。
ジャミールには焦土戦術で少々苦しめられたがジーラッドは国として組織的に抵抗している感じが無い、都市を守っている騎士団はろくに交戦もせずに退却している、命令系統が違うのかもしれない。
市民が武器を手に抵抗しないのは助かっている、ジャルド攻略時の様に纏める力がある人物がいないのだろう・・司祭はお飾りなのだろうか?
今の領地は大丈夫だと思うが、シャハトグラードだったら爺ちゃん婆ちゃんでも外敵に立ち向かおうとするから止めるのが大変だった。
(スカイドラゴン騒ぎの時は結構大変だった)
余り交戦せずに退却を繰り返されると集結された時の戦力差が大きくなってしまう。
できれば適度に反撃して欲しいところだ。
ジーラッドグラードに向かう街道に戻って進撃を続けているが全く反撃が無い。
都市を3つも制圧しているのだから敵が来ているのがわからないって事はないはずだが・・
偵察のため先行させた騎士からも何も無いとの報告だ、この先の丘に布陣しないとジーラッドグラードが射程距離に入る近さなのだが待ち伏せの気配すら無いらしい。
全軍に突撃機動を命じて一気に丘を占領した。
驚く事に首都の至近にも関わらず何の抵抗も無かった。
城壁の見張りが増えている様子もない、まるで俺達の侵攻を知らないみたいだ。
全く抵抗されずに絶好の場所を占領出来た、車両を横列で展開させて歩兵をいつも通り展開させた、今回は騎士団も展開に加わっている。
一応お約束の降伏勧告をしてみた、慌てて防備を固めている様だ。
降伏するつもりは無い様なので。
まずは門扉を破壊した、鉄の扉に見えたが木製の扉に薄い鉄板を貼っただけだった様で余裕で破壊できた。
今回は徹甲榴弾で城壁の下の方を攻撃させた。
しばらく撃っていたら目論み通り城壁の一部が崩れた、更に撃っていたら壊れた城門の瓦礫を片付け始めた、2両に瞬発榴弾を準備させて城門に照準を合わせた状態で待機させた。
全く予定通りに騎乗した騎士団が城門に現れた。
隊列が出来たのを見計らって榴弾を撃たせた。
現れた瞬間に騎士団は壊滅した、そのまま砲撃を続けさせたが降伏はしないみたいだ。
あちこち城壁が崩れ始めていて中が見える状態になってきた、都市はそれなりに発展している様だ。
2時間近く撃ち続けているので民間人は城壁の近くから退避しているだろう。
半数を内部攻撃に充てて残りは城壁の破壊を続けさせた、そろそろ別な門から部隊を出撃させるとか何か手を打たないと一方的に負けそうなのだが、何もして来ない、大都市だから少数の部隊では占領出来ないと思っているのだろう。
こちらは絶好のポジションをキープしているので後詰の部隊が追いついて来るのを嫌がらせ攻撃をしながら待てば良い、増援が来ても場所が良いので余裕で撃退できる。
歩兵には野営の準備をさせながら休憩させた、車両組はのんびりと砲撃を続けた。
恐らく夜襲を計画しているだろう、騎士からバイクを借りて標定射撃用の灯りを設置して回った。
丘を囲む様に一周して設置して来た、陣に戻って測距儀で設置した標定目標の距離を測り番号を振って距離と方位をメモした紙を各車両に配った。
砲撃要員も交代で休憩を取らせて夜襲に備えた。
さて、どのぐらいの規模で攻めてくるだろう。
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