拝読させていただきました。理路整然と自分を守るための言葉を重ねるほど、その隙間から抑えきれない弱さや矛盾がこぼれ落ちてくる筆致に圧倒されました。スマートな正解に逃げず、自己防衛と他者への渇望の間で激しく軋む心の揺らぎを、どこまでも泥臭く、かつ緻密に描き切っています。「嫌だ」という拒絶すら愛おしい輪郭として肯定される展開には、予定調和ではない生きた人間同士の痛烈な説得力がありました。他人の視線にすり減りながらも自分を手放したくないすべての人へ、静かに手渡したくなる傑作です。