小粋で軽やか、大変美味な掌編集です。
この作者様のいつもの作品がくっきりとした油彩画ならば、本作は淡彩画の味わいです。どのエピソードも透明でキラキラして、作品の舞台で香る香が読み手の鼻先にまで漂ってくるようです。
この作者様の作品は、読み手としてどっぷり背中を預けられらる……と、いつもそう感じます。
欲しいところにたっぷりと豊かな情景や心情の描写があり、文字量に対し物語の広がりと奥行きがとても大きく濃密です。読み手の感じる不足感や違和感が丁寧に掬い上げられ、取り除かれている、そんな丁寧な仕事を感じます。
この充実した読後感は、作品に書き手の真摯な情熱が注がれたからこそだと、深く頷かずにいられません。
読んで良かったと思わせてくれること請け合いの、さらりとしながら味わい深い作品。おすすめです。
前作からの繋がりがある短編集です。
とはいえ、作中でもさらっと説明があるので、これだけ読んでも理解はできるでしょう。
しっかり味わうなら、前作も是非!
お香のお店をしている百花(もか)さんと、お人形に入っているカイコさんの二人を主軸に、色んな場面を見せてくれます。
ほのぼのとした日常、お客さんの話を聞いたり、いっしょにドラマを見たり。
前作の主人公である服部くんが出てきてニコニコしたり、はとこの皓志郎との関わりはちょっとドキドキさせられたりと、百花さんの色んな面も見れます。
作中で百花さんは皓志郎さんといっしょにモーニングセットを食べるのですが、名古屋のモーニングはボリュームたっぷり。
この作品も、パンとコーヒーだけの軽いモーニングとは一味違います。
味噌汁にゆで卵、乳酸菌飲料に、あんこも追加されちゃいます。
日常のほっこり、お仕事のお話、甘酸っぱくて、時々しっかり甘い。
お腹いっぱい読んで、寿命を伸ばしましょう(*´∀`*)
時々出てくる怪異たちも面白いですよ!
文披31題という企画に沿い、指定された31のお題に基づいたお話によって紡がれた物語です。
各話のタイトルがそのお題ですが、一目瞭然で統一性のないバラバラなものです。
でも作者さまは、きっちり筋の通った物語に仕上げられました。
『なごや幻影奇想シリーズ』と題された一連の作品に登場する、百花(もか)さんという和装美女(!)が主人公です。
異能調香師であるところの百花さんは知的で面白く、なにげない会話も思わずフフフッと笑わされてしまいます。
そんな百花さんと、師匠のカイコさんとの軽妙な会話が続いていくのですが……
二人の絆、百花さんのあまり見られない一面。百花さんとはまた違う、楽しいカイコさんにも腐腐腐っと。
作者さまの描かれる登場人物のうち、私の最推しの百花さんのお話。一話ずつちょっと読んでいけば、きっとなにかが胸の中へ残ることうけあいです。
名古屋の某所、どこかノスタルジーを感じる商店街の中にそのお店はある。
アロマやお香を扱う、女性客に好まれそうなモダンな店構え。店主ははんなりとした着物が似合う美女、百花(もか)。
そんな百花のもう一つの顔、それは心霊相談を請け負う『異能調香師』である。
日々くるりくるりと忙しく働く彼女を見つめるのは、揃いの着物を着た不思議な一松人形。
「カイコさん、変な文章を書く怪異ですよ」
変わった『依頼』のあとは決まって、百花はその人形『姫子ちゃん』に話しかける。
かつて自分にあたたかな居場所をくれた、ただひとりの師匠のことを想いながら──。
***
作者様の(どれもこれも素敵だけれど)代表作である『なごや幻影奇想シリーズ』、とくに『共鳴糸エンゲージメント』の流れを含む番外編。
主人公はシリーズ読者からの支持もアツいミステリアスな着物美人、百花さんです。方言がかわいいこと!
『異能調香師』としてひとり店を構える彼女のひと月を追う短編連作形式となっており、本編よりも文字数は少なめ。本編のように重めの事件解決に向き合うでもなく、彼女の店に訪れる様々なお客さんの少し変わった困りごとをさくさく解決していく様子は爽快です。どんなケースでも堅実に自分の力を活かして対処してきたからこその安定感。専用の煙管とお香を使っていつのまにか悪霊や怪異を払うシーンが毎度艶やかで、『あああ、百花さんの煙管でふうっってしてもらえるなら軽めの悪霊に憑かれてもいい〜!!悪霊よ来い!!』まで思った読者は私一人ではないはず…(笑)
そんな彼女と共に暮らすのが、訳あって一松人形としてお店に置かれている『姫子ちゃん』──百花さんにとって大事な人である女性の魂が宿った存在であり、日々のおしゃべり相手です。いそいそと着物を毎日変えてあげたり、テレビドラマを一緒に観たりする百花さんはとにかく毎日楽しそうで微笑ましい。それからシリーズファンにはうれしい、あの師弟ももちろん登場。ありがとうございます、おかげで今回も()いろいろと()捗 り ま す ^^^^
お題に沿って書かれたという物語たちからは初夏の香りが漂い、なんというか……とにかく『整う』。どのお話もささやかな日々ながら静かに心に涼を届けてくれるような読み心地があり、ちりんという風鈴や擦れ合う笹の葉の音が聞こえてくるかのよう。読んで涼しくなる、まさに珠玉の短編たちです。
そしてバラバラなお題をそのまま書き連ねるのではなく、最後はきちんとひとつの物語として着地させるのがまた上手い。さすがのクオリティです。
シリーズファンにはもちろん、本編をご存知ない方にも雰囲気を知る入門としておすすめな一作(とはいえネタバレもあるので、シリーズ読破後のほうがより美味しいです♡)
毎日溶けそうな暑さの今こそ読みたい、爽やかで素敵なお話たち。
日替わりの贅沢な『香り』の物語を、ぜひご堪能ください。
アロマオイルや香水など、香りの専門店を営む、和装美人な百花さんのお店にいるのは、「姫子ちゃん」と呼ばれる可愛い人形の看板娘。
けれど、姫子ちゃんの中には、異能の調香師である百花さんの師匠とも言える大切なひと「カイコさん」の魂が宿っていて……。
この物語はそんな二人によって紡がれる少し不思議な日常譚です。
お題にそって書かれているそうですが、31日分のお題でそれを見事に一編の物語に仕立て上げているのがさすがですっ!(*´▽`*)
読むと行って見たくなる百花さんのお店で繰り広げられる物語。
ぜひお楽しみください~!(*´▽`*)
名古屋の『香り』を営む、和服美人の店主の百花さん。
一人で切り盛りしていると思いきや、命を宿った市松人形と軽口を叩きながら、日々お客さんの相手をしています。
さて、この『香り』のお店は、香りのものを売っているだけではなく、ちょっとしたスピリチュアルな相談にも対応しているお店。
何と、この女性店主は『異能調香師』でもあって、霊を操ったり念を扱ったりすることができるのです。
陽澄すずめさんの人気作の1つ、なごや幻影奇想シリーズ『共鳴糸エンゲージメント』のスピンオフとなっていますが、物語自体は基本的にはショートな1話完結です。
日々悩めるお客さんに、百花さんはどう対応するのか。
そして、市松人形に宿った命は何なのか?
とても読みやすく、かつ期待を裏切らない、心温まるショートエピソード集。
オススメです!
香りの専門店を営む裏で心霊相談の仕事もしている主人公の百花。一人暮らしでお店も一人で切り盛りしている彼女には、人間ではない相棒がいます。それは市松人形の姫子ちゃん。姫子ちゃんにはある人(?)の魂が宿っていて――
ちょっとした怪奇事件を取り扱ったりもしますが、基本的にはちょっと不思議な日常のお話がメイン。
とくに姫子ちゃんの中の人がとっても個性的で、思わず笑っちゃう話がいっぱいでした☆
とはいえ、不穏なことが起こりそうな予感も織り込まれています。ストーリーの最後の方は、ハラハラドキドキ。目が離せない展開が続きます。
『文披31題参加作』とのことで、おそらくは決められたお題に沿って物語をつづられてるのだと思います。ですが、大きな制約があるとは思えないほど綺麗に物語が着地していて、すごく驚きました。
お見事としか言いようがない!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°
「文披31題」の企画に沿って綴られる本作は、それぞれのお題に即した独立した小さな物語として楽しめる一方、語り手である百花さんと、カイコさんという神的存在によって、単なる短編集ではなく連作としての面白みがあります。
この作品集には日常と非日常の境界が曖昧に溶け合う独特の世界観があり、それが舞台となる名古屋という土地柄にまつわる空気感によくあっているんです。
というのも、カイコさんの名古屋弁が、どこか郷愁をさそい、神的存在であるにもかかわらず、とっても身近に感じられて惹きつけらるからだと思います。
洗練された筆致で描かれる登場人物たちのやり取りや、ふと背筋が伸びるような怪異の気配が、香気のごとく優しく、そして鮮烈に読者の心に残ります。
怪異を扱いながら怖さ一辺倒ではなく、ユーモアと人情がほどよく混ざった、とても読みやすい作品。
著者様が以前に書かれた、『なごや幻影奇想』シリーズを知っている方はもちろん、ここから入っても楽しめる、素敵な番外篇でした。
駄菓子屋を改装して香の店を持つ美しき女店主。それが本作の主人公だ。着物も似合う彼女は大事にしている人形にもお揃いの服を着せていた。ただの御着替えごっこではない。この人形には「神様」宿っていたのだった。主人公と「神様」の非日常な日常は、人間同士のようだ。「二人」が揃えばまるで女子会のような雰囲気が流れていた。
さて、この店はただの香の店ではない。店主は香の異能を持っていたのだ。そのため店に訪れる人々の邪念を払ったり、その手のアドバイスをしたりしながら、香や匂い袋などを販売していた。香には古くから邪気払いの道具としたの役割があったからだ。
しかし、ある日突然「神様」の様子がおかしくなった。言葉も発さず、気配もない。まるで「神様」が突如として消えてしまったようだった。そして導かれるように踏み込んだのは彼岸と此岸の間の地——。
果たして主人公と「神様」はどうなってしまうのか?
何故「神様」は何にも反応しなくなったのか?
非日常が日常と化した生活の中で、「二人」はどうなる?
作中ではさらりと蘊蓄が語られるシーンが多いのですが、説明的なっていない所が素晴らしいです。同じ物を扱っても、作中のキャラクターに語らせる技術は格上だと感じました。会話が軽やかで、思わず笑ってしまえるウィットに富んでいるので、読み心地もとても良かったです。
一日が良かった日も、悪かった日も、このお店に来れば安心できる。
そんなお店です。
是非、ご一読下さい!
文披、というイベントなのかな? 界隈ではちょっと有名な企画ですが、僕はあまりよく知らず。察するに、毎日お題が出てそれに沿った話を書くようなものでしょう。そのイベントの参加作品のようです。
なので毎日お題に沿って話が書かれます。日々ちょっとずつ物語が進みます。字数も少なめ、サクッと読めます。どうぞ日常の息抜きに。短いので通勤通学の電車で読めますし、お風呂の最中とか、寝る前とか、そういうタイミングでも読めます。スナック感覚でいかが? でも楽しめるエンターテイメントとしての総量はスナック以上というか、しっかりしたお料理です。
ちなみに『共鳴糸エンゲージメント 〜なごや幻影奇想メモワール〜』の番外編です。本編の重要なネタバレを含むので、そういうのが気になる方は本編からどうぞ!
カイコさんという人形に宿った特殊な存在(お姉さん)と、不思議な調香師百花さん(こちらもお姉さん)の送る日常をなぞった物語です。時折挟まれる豆知識や、人々の愛憎、そういうものを楽しめる作品。少しヒヤッとする回もありましたね。単なる日常系ではないのも本作のいいところ。
あ、「シスター腐ッド」は蔑称だと思わないでください。公式のお言葉ですからね! そう、つまり、「腐」の要素があるのだ……。
素敵なお姉さんは好きですか?
そんなお姉さんが二人いて、シスター腐ッドを見せてくれたらどう思いますか?
尊いですよ。ええ、非常に。
少しでもピンと来た方、ぜひ。
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