とっても苦い作品です。
とっても苦いものにどんなに甘みを加えてもやはり苦みは後ろから顔をひょっこり覗かせてきます。
忘れてしまえば楽になれる。
けれど、忘れてはいけないこともある。
そんな矛盾を何度も突きつけられました。
「希望」と呼ばれるものさえ「甘い忘却」と言い切ってしまう二首目には単なる前向きさでは救われない痛みが滲んでいます。何があったんだろうって。
そして最後に明かされる「あの夏」の出来事。何があったのかは語られていないのに、「人を裏切った」という一言だけで、その夏が決して戻れないものになったことが伝わって来ます。
平気で人を裏切ることができる人はたくさんいます。
何の感情もなく、突き落とすことができる人もたくさんいるでしょう。
その一方でずっと痛みを抱え続ける人もいるわけで。
許されても、自分の中では終わらない罪。
忘れることで救われるのか、それとも傷を抱え続けることに意味があるのか。
どちらなんだろう。
五首という短い作品なのにその問いが残りました。
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