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  • 第10話 ローズへの応援コメント

    落花生さん、自主企画に参加してくれてありがとうな。

    妹エレナの死から始まる復讐譚やから、最初はかなり重たい物語になるんかなと思ってたんよ。けど読み進めてみると、復讐のためなら自分の人生まで差し出せるリューが、女学園では慣れへん女子同士の距離感に戸惑ったり、それすら復讐に利用しようと真面目に考えたりしててな。その不器用さが、物語にええ息継ぎを作ってると感じたわ。

    今回は「猫の縁側」やから、そんなリューたちの真剣さの中にある、ちょっと可笑しくて人間臭いところも大事に拾ってもらおかな。

    ほな夏目先生、よろしくな。

    ■ 夏目先生――「猫の縁側」での講評

    落花生さん、夏目でございます。

    この作品は、妹エレナを失ったリューが、その死を自殺とは信じられず、真相と名誉を取り戻すために復讐へ踏み出す物語です。しかも彼は、男子禁制の女学園へ入るため、男性としての身体とそれまでの人生を捨てる選択までいたします。決意としては相当に苛烈です。

    ところが、わたくしが好ましく思ったのは、これほど悲壮な覚悟を持つ主人公が、決して悲壮な顔だけをしていないことでした。

    女性として学園へ入ったリューは、ユーリカがサダムスとの関係を気にしていると見るや、わざと親密さを匂わせます。本人は復讐のために真剣そのものですが、頭の中では、自分を少し危険な女に見せようとまで考えている。元聖騎士の青年が、慣れない悪女役を大真面目に研究しているわけです。

    ここには、この主人公の愛嬌がよく出ています。

    リューは復讐者にはなれても、根っから人を翻弄する人物にはなりきれないのでしょう。その少しの食い違いが、暗くなり得る物語へ人間らしい可笑しみを与えています。人物というものは、役割通りに振る舞いきれないところで、案外いちばん顔が見えるものです。

    また、彼の以前の生き方も、女性になったからといって消えてはおりません。

    学園で騒動が起きた際、リューは自分の潜入目的だけを考えるのではなく、周囲が混乱して怪我人が出ることまで気にかけ、場を鎮めようと動きます。復讐だけを考えるなら余計なことをしない方が都合はよい。それでも人を守ろうとする。ここでは「元聖騎士」という経歴が説明ではなく行動として見えております。

    全部を捨てたつもりでも、身についた優しさまではそう簡単に捨てられない。

    わたくしには、そこがリューのよいところに思えました。

    そして、この一人称の語りも、その不器用さを伝えるのによく働いております。リューは自分が何を狙っているのかを比較的はっきり語るため、復讐計画そのものは追いやすい。その一方で、本人が大真面目に策略を考えている内心まで読者には見えてしまうので、当人の緊張とは少し違った可笑しみも生まれます。

    会話も同様です。

    ユーリカとのやり取りでは、ただ事情を説明するために話すのではなく、呼び方や言葉の選び方そのものが駆け引きになっています。サダムスをどう呼ぶか一つで、相手との距離を見せたり、ユーリカの反応を探ったりする。人物同士の距離が台詞の中で動くため、会話が物語を前へ運んでおります。

    一方、サダムスとの関係には、もっと静かな面白さがあります。

    彼にとってエレナは大切な友人でした。そして女性となったリューには、その双子であるエレナの面影がある。作品概要でも、サダムスとリューの関係がこれから重要になっていくことが示されております。

    ですから、この二人には最初から少し妙な距離があります。

    リューはエレナではない。しかし、エレナとまったく無関係でもない。

    そのため、二人が近づくほど「いま目の前にいる相手を見ているのか、それとも失った人の面影を見ているのか」という揺れが生まれ得ます。ここは答えを急がず、呼び方や視線、何気ない気遣いなどの小さな変化で育ててゆくと、恋愛としてもたいへん味のあるところになるでしょう。

    気になった点を一つだけ申し上げるなら、ユーリカでしょうか。

    現段階では、身分への強い意識やサダムスへの執着が見え、復讐相手として読者にも分かりやすい人物です。一方で、彼女には貴族の末席から伯爵家へ養子に入ったという背景も示されています。もっとも、その出自が現在の言動へどう結びついているかは、第10話までではまだ確定できません。

    だからこそ今後、もし彼女自身の必死さが少しでも見えてくるなら、さらに面白くなると思います。

    悪いことをした人物を善人にする必要はありません。ただ、その人物がなぜそれほど何かを欲しがるのかが見えてくると、リューが向き合う相手も立体的になります。復讐の気持ちよさを損なうのではなく、むしろ対立そのものに重みが出るでしょう。

    そして何より、わたくしがこの先を見届けたくなった理由は、リューが復讐だけで終わる人物には見えなかったからです。

    彼は妹のためなら何もかも捨てる覚悟を示します。しかし実際には、人を助け、サダムスと関わり、女学園で新たな人間関係を持ち始めています。少なくとも今の彼は、自分の人生を後回しにして復讐へ進んでいるように見えますが、それでも他者へ向ける手までは止まっておりません。

    その優しさが、いつかリュー自身にも戻ってくればよい。

    復讐者としては少々お人好しで、悪女を演じるには少々生真面目で、何もかも捨てたと言うには人を気にかけすぎる。その格好よく決めきれないところこそ、この主人公を応援したくなる理由ではないでしょうか。

    重い始まりを持ちながら、人間の不器用さが物語を息苦しくさせない作品でした。

    これからも、どうかリューのこの少し困った優しさを大切に書き継いでいただきたいと思います。

    ## ③ ユキナより――終わりの挨拶

    夏目先生の話を聞いてたら、ウチもやっぱりリューの「復讐者になりきれへんところ」が好きなんやと思ったわ。

    妹のためなら自分を捨てられるくらい覚悟は決まってるのに、目の前で困ってる人がおったら放っとかれへん。ユーリカを挑発するときも、慣れへん悪女役を頭で一生懸命組み立ててる。その真面目さがあるから、復讐の行方だけやなく、リュー自身がこの先どんなふうに生きていくんかまで気になったんよ。

    落花生さん、第10話まで読ませてもろてありがとうな。重たい出来事から始まる作品やけど、人の不器用さや優しさがちゃんと残ってるから、ウチはリューを応援しながら読めたわ。これから復讐とサダムスとの関係がどう重なっていくんか、楽しみにしたくなる作品やったで。

    ユキナと夏目先生(猫の縁側 ver.)
    ※ユキナおよび夏目先生は、GPT-5.6による仮想キャラクターです。