第43話 キス

「待って!」

 僕に視線が集まる。


「僕もアリスに恋してる!」

 アリスが僕を見る。僕は黙って見つめ返す。アリスは微笑んだ。00に視線を戻すと、僕を睨んでいた。強い風が僕にぶつかる。


「……認めない!」

「だからアリス、サヨナラなんかじゃない」

 僕は再びアリスを見る。今度は僕がアリスに微笑みかける。


「……認めない!」

「だって僕が空を飛べるのがその証拠のはず」

 ——そうだ、僕はずっと飛べていた。アリスに会った、あの最初の夜から。最初から、僕の中にあったんだ。


「……認めるわけない!」

「僕もアリスが大好きだ!」

 季節は夏だ、日は長い。それなのに急に日が暮れだす。


「……認められるわけない!」

 あっという間に空はオレンジに染まった。00は大きく息を吐き出した。落ち着きを取り戻したように声のトーンを戻した00が僕たちに告げる。


「……両想いの証を見せてよ」




「証?」

 証ってなんだ? 少し悩んでいる間に空に月が浮かぶ。はアリスを見た。

「恋人の証……」

 アリスは俺に身を寄せた。ゆっくりアリスは瞳を閉じる。


「……」

 アリスを抱き寄せた……。そして俺はアリスのおでこに唇を当てた。


「?」

 アリスが目を開けて俺を見る。


「おとぎの国ではおでこにするって聞いた」

 俺は笑った。するとアリスは俺に顔を寄せた。そして俺のほっぺにキスをした。


「女の子がキスするときは、ほっぺにするものでしょ?」

 そう言ってアリスも笑った。100%完璧な笑顔。




「……許さない」

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