幽霊騒ぎは全部インチキだと思っていたら、最後にノワールへ手招きした女性だけ説明がつかなくて、一気にぞわっとしました。しかも写真の女性が亡くなった奥さんだと分かった後、主人が「幽霊でもいいから、お前に会いたいよ」と呟くのが切ないです。怖いはずの幽霊が、この場面だけは会いたくても会えない人そのものに見えてしまいました。もし本当に奥さんだったなら、宿を守りたくて出てきたのかなと思うと、少し泣きそうです。
社会の片隅で声を上げられない人々のために、真実を光の中へ置くロペス兄弟。事件ごとに異なる嘘の形へ、交渉人の兄と情報屋の弟が別々の角度から迫る構成が面白いです。その理念が事件ごとに違った形で描かれる一方、彼ら自身については、なぜ真実を追うのかがまだ明かされていない。生き別れの兄弟を見届けた二人が僕らにも、探したい人がいると語ることで、これまでの事件が兄弟の過去へ向かう伏線として見えてきます。事件の真相以上に、兄弟自身の真実を知りたくなる作品です。
法では裁けない事件にロペス兄弟が挑む姿に引き込まれます。一話完結型で事件を追っていくので、読みやすい!また、単純な勧善懲悪では終わらないのもいいです。真実が明らかになった時に必ずしも救いと限らない。ロペス兄弟がそれぞれを役割を担っており、調査を進める兄ブランと人から情報収集する弟ノワール。それぞれのやり方で事件に向き合っていくのも魅力的。ミステリー小説好きはもちろん、謎解き後の感情の余韻が読みたい人にもおすすめです。