亡き祖父の母校である名門中高一貫校に通う『僕』は、大好きな祖母のために定期試験で学年首位となった。そのことからトラブルが起き、検査入院をした僕は、学校とやり取りをして、特別な休暇を得る。
本作はとある自主企画参加作品だ。
私は怠惰な読者であるので、氏の書かれた全ての小説を読破はしていない。だから、今回感じた「モノ」が既に氏の中で萌芽、もしくは発芽していたかは断定できない。
さて、読者様には現代社会において「十代」の位置付けを考えてみて欲しい。
文芸の世界においてそれは「苦悩」「ナイーブ」「無軌道」「自棄」「怪物」など、ネガなイメージにエゴと自我を中心軸におき、伸び伸びと自由に鬱屈されて表現するアイコンだ。
勿論、そうではないイメージもある。だがそれはあまりにわかりやすい。得てしてコントとまではいかないが酷く退屈に感じる。そういうエンターテインメントも悪くはないが、「だから?」と思ってしまう。
本作は「十代」というアイコンの、新たなスタンダードを提示している。
失われた30年から生まれた「十代」という存在は、前世代が持ちやすいイメージとはどんどんかけ離れている。ゆえに古い世代の選抜した「十代」の像で書かれた小説は、親が選んだ見合い相手と同義であり、リアル世代からの支持を受けにくい。ここに低迷する書籍の現実がある。
私は本作を拝読し、嬉しくなった。
現代の悪い意味で文芸に老成した若者が描く瑞々しさとは次元が違い、これからの30年を見据えても頼もしい「発見」がある気がした。
これは私の感想であり、共感して欲しいわけではない。これを読むあなたにはあなたの文脈が見え、そして答えがあり、感動がある。そういうものでいい。
ただここにある何かを共有できれば、面白いなとも考える。
豆ははこ氏の新たな小説を、皆様に是非お勧めしたい( ;∀;)
【レビューコンテスト応募】