夜の病棟で患者を看取った女性医師が、気づけば黒死病が迫る14世紀ヨーロッパへ――
その導入から、現代医療と中世の恐怖が鋭くぶつかり合います。
科学的な正しさが、群衆の恐怖と結びついた瞬間に暴走し、無実の人々を焼き殺す引き金となってしまう展開は痛烈で、医師としての信念が逆に悲劇を呼ぶ残酷さが胸に迫ります。
それでも彼女は、救えなかった命の名前を一人ひとり記録し続ける。その行為が、やがて“死の舞踏”へとつながる歴史の真実を照らしていく流れが重厚で、静かな尊厳を感じさせます。
正しさとは何か。
名前を残すとはどういうことか。
絶望の時代に医師が見つめた命の記録が、深い余韻を残す転生医療ファンタジーです。