主人公は、まわりから「堅物令嬢」と揶揄される、美少女リラ。
十年前に起こった王子暗殺事件を解決するため、情熱を燃やし、身を挺して行動します。なぜなら、暗殺された王子とのあいだには、忘れられない大切な想い出が……
もう一人の主人公アルカンジェロは、去勢歌手(カストラート)の美青年。
歌もプロフェッショナルなら、武術の腕も立つ。こちらも、事件の謎を追っています。
中世ヴェネツィアをモデルにした世界が、リアルに活き活きと描かれています。
なかでも熱気あふれるお祭りの様子は、読者を中世の貴族社会に、ヴェネツィアの夜の片隅に、仮面と仮装の異世界に、ぐぐっと引きずり込んでくれます。その素晴らしい描写と、研ぎ澄まされた世界観に、物語に没頭できること間違いなしです。
自分が恋をすることによって、今まで見えなかったものが見えるようになり、今まで理解できなかった家族を深く理解してゆく。そんな描写も秀逸です。
「春分の日」というワードに象徴されるように、これは復活の物語――
一度は消えてしまった大切なロマンスが、大祭の熱気の中で、ゆっくりと華ひらいていく様子に、胸が高鳴ります!!!