愛する人を看取った修司に残されたのは、悲しみだけではなく、手放すことのできない温度と記憶でした。四十九日を迎えても日常へ戻れない彼の時間が丁寧に描かれることで、この先に現れる怪異も単なる恐怖ではなく、死者への想いと結びついたものとして感じられます。忘れたくない気持ちは救いになるのか、それとも異界へ引き寄せるのか。喪失の先で始まる静かな怪異譚です。