料理のレシピから始まり、小説の書き方、
そして人生の歩き方へと話が広がっていく一篇。
「型」を学び――
その先に自分だけの隠し味を加えることの大切さを、
軽妙な語り口で教えてくれる知的なエッセイです。
そして、この作品で最も心に残ったのはラストでした。
作者は最後に、自虐を交えながらこう語ります。
「大切な一日に、これしか他に時間の過ごし方が無い」
一見すると、少し寂しい告白のようにも聞こえます。
しかし、私は逆の意味に受け取りました。
「他にやることがない」のではない。
「結局、自分が一番好きなことを選んでしまう」のです。
人生で一番大切な日にも、だから私は書くことを選ぶ。
それは創作に縛られた人生ではなく、
創作を愛している人生なのでしょう。
この一文には、作者の生き方そのものが、
静かに滲んでいるのかもしれません。