本作はですね。
実は、レビューするか悩みました。
なぜか。
これは他者の感情が読み取れる人こそ楽しめる、いや、共感して切なくなったり、反発して怒ったりする作品のような気がするからです。
空気が読めない、言葉通りに取ってしまう、自分みたいなタイプの人には難しいお話です。正しく受け取れているのか不安にさせる、感情の坩堝みたいな独白です。
けれども感じてしまう。この話、なんだかいいな、と。
常に声にならない悲鳴のようなものがまっすぐに飛んできて、読み手の心を震わせるのです。
本作の主人公は、分類するならばおそらく「ダメ男」のたぐい。定職にも付かず、ぶらぶら刺激を求めてパチンコに最後のお金をすってしまうような。
そんな男が、ひとり女性と出会い、ともに暮らすようになる。
お酒の時間やタバコの場所とかなりきっちりされている女性です。主人公と真逆。きっと真逆ゆえに何か惹かれるようなものがお互いにあったのでしょうが……まあ、うまく行くはずありません。
苛立ち、すぐにいつもの「ダメさ」を出してしまう主人公。テレビで家族の特集や主人公を根気よく支えようとする彼女さんに苛立つ主人公から、怒りの中に焦りのようなものが垣間見える……。
正しく読めているか、自信はありません。
ですが、なんだかとても感情をかき乱される、そんな心地のする一作です。
お勧めです。