完成した物語だけが、創作の面白さではない。
ふと浮かんだアイディア。いつか形にしたいもの。考えている途中で、思いがけず違う方向へ転がっていく発想――。
本作は、そんな「何かが生まれる前の瞬間」を、朝裏先生ならではの軽快な言葉で楽しめる作品集です。
「あー」「んー」と考えながら、季節や自然、動物、食べ物へと思いを巡らせ、ときには服やマグカップまで飛び出してくる。ひとりツッコミを交えながら広がっていくアイディアを追っていると、作者様の創作現場をこっそり覗かせてもらっているようで、こちらまで楽しくなってきます。
短い言葉にも、長い言葉にも、それぞれに残せるものがある。
自由でユーモラスな文章の奥には、作品を楽しむ人や、そこへ言葉を届ける人を大切にする温かな眼差しも感じられました。
今はまだ小さな思いつきでも、じっくり寝かされ、発酵した先で、どんな姿に育つかは分からない。
だからこそ、この「みそ」は面白い。
朝裏先生の頭の中で熟成していくアイディアを、一緒に楽しみながら見守りたくなる作品です。