「春のあらゆる感情はパレード」という、
冒頭のフレーズはこの作品世界の、
不思議な物語性を醸し出していると思います。
7首目。
割りたいな あなたと季節がこんなにも癒着していることの花瓶を
ただの嫉妬ではありません。
この歌ではあなたと癒着している「季節」が、
その嫉妬の対象になっているのが切なくも美しいのです。
しかもその癒着を花瓶に見立てて、
初句の「割りたいな」に戻る構成が、
とても鮮やかだと思いました。
春という季節の輝かしさと危うさ、
そこに恋心や生き方への問いが重なって、
独特の静かな詩情が渦巻く短歌集になっています。
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