猫が主役で読みやすい。そして、ものすごくヤベぇ怪異が起こりまくる霧生ヶ谷という土地に、ワクワクさせられる。とにかく豊富な知識と機微と工夫がこれでもかと盛り込まれており、読んだだけで自分が数段階賢くなった気がしたけど気のせいだった。
「クトゥルフ神話ってたまに聞くけど実はよく知らない」、「因習や呪い以外の和ホラーが読みたい」という人には特にオススメ。詳しい人も、なお楽しめるのではないかと思う。
話は、クトゥルフ神話体系の邪神と怪異が渦巻く町を黒猫のゴッフが案内する形式の短編集。姉御肌で古い関西弁の黒猫ゴッフ。彼女は、異能の力で霧生ヶ谷という土地を陰ながら守護しているという。
本編である「【クトゥルフ連作短編集】邪神耳袋」を別の角度から掘り下げ、解説しながら、隙あらば妙な人間味と猫の”あるある”でナゴませてくる。小難しいことを考えずにスラスラとホラー小説として読むもよし。とはいえ、この文学的表現やふんだんな知的ユーモアの氾濫すばらしく、たんにクトゥルフ神話の入門書とだけ評するには役不足だろう。