シーン33

◯ 同・園内

   底抜けに明るい音楽と人々の笑い声。

   園内の至る所で来園客が遊んでいる。

   観覧車の下に立つ根黒と友保。

   ゴンドラを呆然と見上げる。


◯ 同・観覧車・ゴンドラの中

   腐敗臭に激しく咽せる登。


登「ゲホッ!ゲホッ!」


   地面にうずくまり胃液を吐く。

   椅子に座る硝子は、ぐったりと体を壁に預けている。

   硝子にかつての面影はない。

   斑模様に変色した肌。

   髪はボサボサ。

   焦点の合わない淀んだ目。

   半開きの口。

   ボロ切れから伸びた足はあらぬ方向に曲がっている。

   登の前に座っているのは腐った死体。


登「…約束守るよ」

硝子「……」

登「でも死んじゃったら意味ないだろ…」

硝子「……」

登「何か言ってよ…」


   硝子は何も答えない。


◯ 同・同・外

   天辺のゴンドラの中では、硝子の遺体にすがりつく登の姿が見える。

   窓に張り付く一匹のハエ。

   じっと中の様子を伺っている。

   間もなくしてハエは「ぶぶぶ」と光の方へ飛んで行く。

   ガコンという音と共に動き始める観覧車。

   登を地上へ連れ帰る。


   了

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ハエノネ まいずみスミノフ @maizumi-smirnoff

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