読み進めるほど少しずつ世界の輪郭が見えてくる構成が面白かったです。
特に、序盤から登場していた時計の音が物語の核心へ繋がっていくところは、続きが気になる良い仕掛けだと思いました。
また、日常生活のすぐ隣で感染者が処理されている世界観も印象的です。
「本日の感染者は0人」というニュースなど、説明されないことで逆に不穏さを感じる場面が良かったです。
少しだけ気になったのは、読者が描写から理解できたことを、その直後に地の文でもう一度説明している箇所があることです。
この作品には、説明しなくても不気味さを伝えられている場面がすでにあります。
そこをもう少し読者に預けてみると、「チクタク」の怖さや世界そのものの不穏さが、さらに強くなるのではないかと思いました。
設定と物語の仕掛けに魅力を感じました。
この先、「消えないチクタク」と感染症がどう繋がっていくのか気になります。