古びた山小屋。
人の気配のない峠道。
どこからともなく聞こえてくる叫び声。
そして、誰かに見られているような気配。
ここまで揃えば、
「この山小屋には、何かいる」
そう思うではありませんか。
私もすっかり、そのつもりで読んでいました。
かつてこの場所で何かが起き、その時に残されたものが今も山小屋に留まっているのではないか。
最初に聞こえた悲鳴にも、きっと意味があるのだろう。
そんなことを考えながら、少しずつ不穏になっていく物語を追っていました。
そして牧雄が眠りについたあと、物語はさらに奇妙な方向へ進んでいきます。
なぜ、こんなものを見せられるのだろう。
これはただの夢なのか。
それとも、この山小屋に残された何かと繋がっているのか。
読んでいるこちらも牧雄と一緒になって、その意味を考えてしまいました。
けれど——
この作品、本当に怖いのはそこからでした。
怪談を読んでいるつもりで身構えていた私の予想を、最後に別の角度から突いてくる。
「ああ、怖いものって、“そういうもの”だけじゃないんだ」
読み終えた瞬間、そんなことを思いました。
しかも振り返ってみると、最初に聞こえた悲鳴も、誰かに見られているような描写も、途中で目にしたものも、それぞれが妙に気になってくるのです。
あれは何だったのだろう。
何を知らせようとしていたのだろう。
それとも——
短い物語だからこそ、ぜひ最後まで自分の目で読んで、この山小屋で待っているものを確かめてほしい。
静かな山の中。
誰もいないはずの古びた山小屋。
もしそこで、どこからともなく悲鳴が聞こえてきたら。
あなたなら、そのまま一夜を過ごせますか?