人間の命を奪うために現れた上級死神・K。
ところが、最初の任務で思わぬ事故が起こり、標的だった女子大生・紡と魂が繋がってしまいます。
しかもKの姿は、小学生ほどの少年に。
威厳たっぷりに長い本名を名乗っても「K君」とあっさり略され、死神だと訴えても「中二病」と受け流される。
くまのTシャツを着せられ、コンポタに感動し、ゲームに夢中になり――。
死神としての威厳がものすごい勢いで崩れていくKと、そんな彼を自然体で受け入れていく紡の掛け合いが、とにかく楽しいです。
けれど、読み進めるほどに惹かれていったのは、そんな二人の距離が少しずつ変わっていくところでした。
最初は成り行きから始まった、奇妙な共同生活。
人を放っておけない紡の優しさや、懸命に毎日を生きる姿に触れていくうちに、Kの言葉や行動にも少しずつ変化が見え始めます。
本人はなかなか認めません。
むしろ一番気づいていないのがK自身なのでは、と思ってしまうほど(笑)
そんな何気ない場面の積み重ねから、二人の間に少しずつ生まれていくものが伝わってくるのが、とても好きでした。
そして紡もまた、ただ守られているだけのヒロインではありません。
自分のことより誰かを優先してしまうほど優しく、それでも自分の夢に向かって懸命に歩いている女性です。
表向きはKが紡を守っているように見えても、日々の暮らしの中では、紡もまたKに人間界での居場所や温もりを与えている。
気づけば二人は、不思議な繋がりだけでは説明できない関係へ、少しずつ歩き始めているように感じました。
そして、そんな賑やかで温かな日常の裏側では、二人を取り巻く不穏な気配も少しずつ動き始めます。
笑っていたはずなのに、ふと緊張感のある展開へ引き込まれる。
ラブコメの楽しさとバトルファンタジーの不穏さ、その両方が物語を前へ進めていきます。
命を奪うために出会ったはずの二人。
この奇妙な同居生活の先で、Kが何を知り、二人の関係がどのように変わっていくのか。
そして、彼らを繋いだものには、いったい何が隠されているのか。
K君、どうかその威厳はほどほどに(笑)
コンポタ片手に、これからの二人を追いかけたくなる物語です‼