古文の引用がカッコいい!
そして、とにかく仕掛けが上手い!
読み終わった後、聞いていないはずの、
─── ガラガラガラ…… ───
という引き戸の音が今も耳を離れません。
**********
私は、古文パートが出てくるたびに一読した後、AIに現代語訳してもらいながら読み進めました。
これがちょっとした衝撃でした。
これまでも、本を読みながら検索やAIを使うことはありましたが、「(時代を往還する本文)と(古文とAIの往還)」という読書体験が、小説の構造とピッタリとハマり、物語が進むごとに脳汁が溢れてきてヤバかったです。
**********
現代語訳したついでに、時代考証もさせていただきました(私がAIで調べただけなので間違ってたらゴメンナサイ)。
ドリフの『8時だョ!全員集合』は土曜夜8時放映——、昭和53年7月29日は確かに土曜日で、しかも前週は野球中継で潰れていたそうです。
つまり、久しぶりにお茶の間が笑いに包まれる団欒の中での出来事でした。完璧すぎる!
恐ろしや〜。
『宇治拾遺物語』の原文と、昭和・平成・令和を生きるある家族の物語が交互に進むホラー短編でモキュメンタリー風味も感じます。
読んでいると、こういうことなのかな?と仮説が次々に浮かびます。でも、どの仮説も最後の一歩で確定してくれません。
この……作品が解釈を拒んでくる答え合わせのできない宙づりの気持ち悪さ!
これが千年前の説話が持つ得体の知れなさというやつでしょうか!?
そして本作はその気持ち悪さを損なわずに現代に運んでくるのです。
古文の知識は不要。現代パートが自然と訳の役目を果たしてくれます。
とはいえ、先にググって現代語訳を読んでもいいかもね(わたしはそうしました)
怖さやお話の筋を考察してみたい方も、そしてその考察を作品に拒まれたい方にも!とってもおすすめ。