エレベーターの表示は「4」と「5」の間で怪しく明滅する。
扉が開いた先には、紫と赤の光に包まれた見知らぬ飲み屋街。
そして並んでいるのは――
【居酒屋 漢だらけ】
【大料理 ゆうこ】
【BAR アイアンヘッド】
【熟魔女バー LL】
【スナック 亜空間】
……もう、この時点で絵を見たくなりませんか?(笑)
本作は、漫画原作脚本として再構成された『スナッキーな夜にしてくれ』。
かつて物語を読んだ私も、今回あらためて読みながら強く感じたことがありました。
これ、漫画になったら絶対に楽しい。
というより、文章を追っている段階で、すでに頭の中にコマが浮かんできます。
死んだ魚のような目で残業する常松京太郎。
後輩から届く腹立たしいメッセージに青筋を立てる顔。
「4」と「5」を同時に押した瞬間に起こる異変。
異様に長い廊下。
禍々しく自己主張する看板の数々。
そして【居酒屋 漢だらけ】の扉を開けた瞬間――
画面いっぱいに躍動する、赤フンドシ姿の超絶マッチョ三連星!!
……いや、これは大ゴマで見たい🤣
常松の脳内妄想もまた、漫画との相性が抜群です。
現実の飲み屋街から、突然宇宙へ。
世紀末へ。
昭和歌謡へ。
懐かしのテレビやCMへ。
一つの言葉をきっかけに連想が暴走し、場面そのものまで別世界へ飛んでいく。
脚本形式になったことで、
「ここで常松の顔がアップになるんだろうな」
「ここはドーン!と大ゴマかな」
「このツッコミは大きな吹き出しで見たい!」
と、読者の中で自然に画面が組み上がっていくのが面白いです。
そして第5話で登場するユリコママ。
鮮やかなグリーンの衣装。
妖艶な笑顔。
常松の心を見透かすような視線。
そこから繰り出される――
「ステキな♡ サムシン・グ~~~!」
……これも絵で見たい(笑)
本作の面白さは、単に懐かしいネタを並べているところではありません。
怪しく不気味な異空間なのに、常松の妄想とツッコミが入った瞬間、すべてが“スナッキー”な世界へ変わってしまう。
怖い。
怪しい。
なのに笑ってしまう。
その振れ幅が、表情、背景、効果音、吹き出しという漫画の力と合わさったら、どんな画面になるのだろう――。
そんな想像まで楽しませてくれる漫画原作です。
昭和・平成を知っている方なら、脳内に飛び込んでくる懐かしい映像にニヤリ。
元ネタをすべて拾えなくても大丈夫。
常松のくるくる変わる表情とツッコミ、そして次から次へと現れる濃すぎる光景を追いかけているだけで、この奇妙な飲み屋ダンジョンへ引きずり込まれていきます。
ぜひ、文章を読みながら――
あなた自身の頭の中に立ち上がる“漫画版スナッキー”も、一緒に楽しんでみてください。
きっと気がついた時には、コマが割れ、吹き出しが飛び、常松京太郎が画面の中で右往左往しているはずです。
そしていつの日か、本当に漫画になった彼らを見られたら――。
私はきっと真っ先に、
「赤い三連星、ホントに絵になったーーー!!🤣」
と叫ぶと思います(笑)