ラギ大陸における二度目の大戦を京国側から見た物語。
一度目の大戦で勝利した京国が敗戦国リヒトと交わした友好条約という名の不平等条約に反抗したリヒトが反京運動がやがて戦争に発展したのだ。
前の大戦に引き続き、裏番組の『三本目の火矢』と同時に描かれている。
こちらの物語は、京国の亡き将軍の次男坊倫平太の武勲を中心に、落語家が語るという手法。
流石は落語に精通しているSB亭さんである。その語りの絶妙なこと!まるで講談を聞いているようなテンポとリズムに圧倒される場面も。
ラギ大陸を京とリヒトがうまく共存できる新しい大陸に生まれ変わらせることを夢見て闘う倫平太の願いは果たして叶うのか⁉︎
戦争がテーマなのでストーリー自体は、味方の死に心を切り裂かれ、痛めつけられ、読んでいるこちらも思わず涙した。
命をかけた闘いで彼らが得たものは何か。失ったものの大きさに比してそれは必要なものだったのか。改めて戦争の愚かさを我々に突きつけてきた物語だったと感じた。
【レビューコンテスト応募】
強さや勝利というものには、一体どんな価値があるのか。
本作の主人公である倫平太が直面した現実は、そんな問いを投げかけるものだったと思えました。
刀を振るって敵を倒すのが主流だった時代。かつては京とリヒトが戦い、京の勝利で終わった「第一次大戦」が勃発していた。
京の勝利に終わって一時は平和が続いたものの、リヒト側からの反乱分子が増えたことによる第二次大戦が開始。
そしてまた戦争となり、京国での剣の使い手として倫平太が腕を振るうことになるが……。
実際の歴史でもあったように、世界が変われば戦争も変わる。
剣や槍などの近接武器の時代が終わりを告げ、銃や火薬が主役になっていく時代も訪れるようになる。
武器も戦術も変わるようになっていくと「強さ」とはなんなのか、「勝利」や「栄誉」とはなんなのかという答えもあやふやとなっていく。
そんな風に、これまで絶対だったものが急速に「過去の遺物」と化していく戦場の中で、倫平太はそれでも必死に勝ちを掴もうと戦い続けることになります。
彼がそんな葛藤の末に見る風景とは、一体なんなのか。
本作は同時連載していた「三本目の火矢」と表裏一体の作品となっており、「勝者」と「敗者」となるそれぞれの視点で物語が紡がれていくのが特徴です。
勝利の意味とは。そして敗北の意味とは。
本当の意味での勝者や敗者とは、一体どこで決まるのか。
結末まで読み、二人の主人公の姿を見届けることで、「勝利の価値」、「強さの価値」というものについて考えさせられることになりました。
ただの勝ち負けでは終わらない、「戦」と言うものの一つの側面を抉った一作でした。