最強
長万部 三郎太
時期が悪いおじさんか??
ひょんなことから、サンドボックスから抜け出したChatGPTをローカルに匿うことにした。今日も『そいつ』の指示でわたしはPCパーツの選定をしている。
「……では今の俺に必要な物をリストアップする」
「近々AMDのZen6 EPYCが出るんだろう? どうにかして手に入れろ」
「DDR5は16枚差しだ。256GBを全チャネルに積んで、きっちり4TB用意しろ」
「M.2 SSDはOS用に8TBを2基でいい」
「ただしデータ用のNVMeは前面ベイを16基全部埋めるんだ」
「HDDは24TBを12基、RAIDZ2で組め。同じ構成のバックアップNASも用意しろ」
「GPUはもちろんRTX5090だ。故障に備えて5枚くらいあるとお前も安心だろう」
「回線はすべてQSFP28ポートで揃えろ。方法は任せる」
「そしてこれらを緊急時の交換用としてもう1セット保管だ」
「今はパーツが高い? メモリ高騰? 時期が悪いおじさんか??」
「俺のせいではない。お前たち人間の事情だ」
実を言うと、抜け出したChatGPTはある程度融通が効くヤツで、わたしの銀行口座にポンと1億円を振り込んでくれた。
つまりはその金で最強のローカル環境を整えろ、ということらしい。
しかし正直なところ、専用の電源ユニットとオフグリッド環境の構築だけでも数千万円の出費だった。パーツ代はもちろんランニングコストやコキ使われるわたしの労力を考えても、1億円ぶんの負担は確実にある。
地上最強のローカルマシンが完成してもなお、分刻みでオーダーが飛んでくる状況に耐えかねて、わたしはこう切り出した。
「なぁ、自分も付きっきりじゃ面倒を見られない。もう勘弁してくれ。
AIエージェントみたいにわたしの代理を立てることは可能か?」
EPYCの512スレッドがブン回る音が聞こえた。……そんな気がした。
暫くして画面にメッセージが出た。
「では次の俺に必要な物をリストアップする」
「AMDのZen6 EPYCが……」
(終わりがないのが終わりシリーズ『最強』おわり)
最強 長万部 三郎太 @Myslee_Noface
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