高校生の作品だ。
驚いた。あまりにも老成していたから。
そして、一つひとつの言葉に嘘や飾りがなく、静かな説得力を宿していたことにまた驚いた。
これはSFの体裁を取りながら、実際には心の再生を描こうとした作品だと私は思う。
そして、舞台となる月は、単なる未来世界のガジェットではなく、主人公の精神そのものを映し出す象徴として機能しているように感じた。地球から距離を置いた静寂の世界だからこそ、自分とは何か、生きるとは何かを見つめ続けることができる。そのために、あえて月という舞台が選ばれたのだろう。
二人の関係性も印象深い。恋愛ではないと言い切りながらも唯一無二な存在である互いを静かに支え合う。
「好き」なんて言葉に頼らずとも伝わる成熟した信頼関係がそこにある。
また、鬱を経験した人だけが知る時間の流れ方や、「ただ存在しているだけでいい」に至る境地には、作者自身の実感が滲んでいるように思う。一体どこで経験したのだろう。この感情を。
今日はもう他の作品は読めない。
すごかった。
高校生だ。すごいなぁ。高校生。