古びた商店街の外れにある、小さなおにぎり専門店。
店に並ぶのは、具の入っていない塩むすびだけ。
その店を営むのは、八十八歳になる米田ヨネさんです。
昔ながらのおにぎり屋さんを舞台にした、どこか懐かしくてほっこりするお話なのかな。
そんな気持ちで読み始めたのですが――途中から、物語の印象がガラリと変わります。
詳しく書いてしまうと、この作品の一番おいしいところを奪ってしまうので、ここから先はぜひご自身の目で確かめていただきたいです。
物語の中で描かれるのは、塩むすびを握り続けてきたヨネさんの人生。
決して平坦ではなかった長い歳月を辿っていくうちに、最初に見ていた「塩むすび一筋のおばあちゃん」の姿が、まったく違って見えてくるのが面白いです。
そして最後まで読むと、「握る」という言葉にもいくつもの意味が込められていたことに気づかされます。
わずか1700文字。
それでも一人の女性が歩んできた人生の重みと、その生き様がしっかりと感じられるのが、この作品の魅力だと思いました。
短い時間で読めて、意外な展開のある物語が好きな方。
そして、ひと味違ったおばあちゃんの人生を覗いてみたい方に、ぜひおすすめしたい作品です!✨