19話 反転した君
…………純愛ね。
でも、私の望む方向に進んでいることが確信になったのは良かったわ。
あれ?
純愛なのかしら?
ps.R
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____アビス 1000層 グランステラ 移動船ファクトリアにて
「カーネリアンさん.........こんばんは」
「ん? ユーノか」
ユーノはレイの頼み事のため、アビスの技術の根幹にして全てがアストラルキューブ製である移動船にいた。
そこでユーノは、いつも酒、主にワインばかり飲んでいるファクトリアの最高技術者、カーネリアンに声をかける。
「カーネリアンさん、これを……」
そう言って、自身の籠手とレイの腕輪、そして手紙を差し出す。
「ふむ、分かった」
「お前は家に帰れ。その精神じゃキツイだろう」
「はい……失礼します」
うつろうつろしたユーノが去った後、システムから連絡が入る。
「《反転》《リバース》が起きただと?」
カーネリアンは振り返るが、すでにユーノの姿はそこになかった。
「……大丈夫だろうか。まあ、あの女がいないレイよりかはマシか」
酒を煽りながら、彼女は再び歩き出した。
______アビス 特殊エリア ワンダーランド ユーノ宅
帰ってきたワンダーランドの空は、すっかり夜に包まれていた。
時間は九時を回り、パレードも既に終わっている時間だった。
ユーノは僅かな街灯が灯る静かな道をふらつきながら歩む。
後ろにいる気配には、まったく気づいていなかった。
「家……」
鍵を開けて中に入る。
部屋はシンプルながらも、どこかファンシーなしつらえだった。
ユーノは杖を杖立に立てかけ、部屋の灯りを点ける。気配を感じ後ろを振り向くと、そこにミライが立っていた。
「ミライお姉ちゃん? ミライお姉ちゃん!!」
ユーノは目を輝かせて駆け寄り、勢いよく抱きついた。
しかし、ミライは冷たくユーノを突き飛ばす。
「ミライ……お姉ちゃん? ……っ」
その瞬間、ユーノは異変に気づいた。
目の前にいる彼女の瞳に、光が一切宿っていなかったのだ。
「ねぇ、ユーノ? 私のこと好きなんだよね?」
青と白のミニスカート付きの服を纏っていた彼女が、ガクリと《反転》《リバース》した。
瞳は深く黒く染まり、制服は赤と黒、そして一部が焼け焦げたような禍々しい服へと変わっていく。
茶髪のおさげだった髪も、血肉を思わせる赤黒い髪へと色を変えていた。
「じゃあ、お姉ちゃんが愛してアゲル」
その言葉に共鳴するように、ユーノの瞳もまた真っ黒に染まっていく。
「うん。ミライお姉ちゃん……」
そこからは、二人だけの甘い甘い宴が始まった。
それから四日後。
ミライの姉であるヒカリが、ユーノの家を訪れた。
勢い良く扉を開ける。
「ミライ!! いる――」
部屋の中では、ベッドですやすやと眠るミライと、その部屋の隅で顔を真っ赤にして縮こまっているユーノの姿があった。
状況を察したヒカリは、無言で目を逸らす。
「……失礼しました」
彼女はそっと扉を閉めた。
_____ワンダーランド中心 ワンダータワーにて
「ははは!! そうかミライ君、君逃げてきたってことだね。君も混ざれば良かったじゃないか」
ワンダーランドの神・シャングリラは、面白そうに笑いながらそう言った。
「シャングリラ様!? 何言ってるんですか!?」
「え? いいと思うんだけど」
「シャングリラ様?」
ワンダーランドの防衛統括者であるデュランダルは、冷ややかな視線を向けながら、容赦なくシャングリラに武器を向けた。
「冗談、冗談だよデュランダル! ね、だからそんなに怒らないで!!」
「隊長!! もっと言ってやって下さい!!」
「シャングリラ様、今日のおやつ抜きです」
「え、待ってよデュランダル! それだけは勘弁して!!」
「なら次は、この様な軽率な振る舞いを控えて下さい」
「うっ、分かったよ……。でもヒカリ君、僕の言った通りだっただろう?」
「ミライ君はワールドエンドエネルギーとの親和性が高いって」
「今回は被害が無かったよね。ユーノ君にワールドエンドエネルギーを入れたのは、上手く行ったみたいだね」
「シャングリラ様? 一体どういう事ですか?」
「ヒカリ君!? 拳に魔力を込めないでくれ、ちゃんと訳があるんだ! 真未来神書に、二人をぶつけるとワールドエンドエネルギーが相殺されるって書いてあったんだよ!」
「分かりました。でも、一発だけ殴らせてもらいます」
「ちょっ、グヘッ!!」
鮮やかな一撃が直撃し、シャングリラはそのまま壁へと綺麗に埋まった。
「自業自得ですね」
デュランダルは呆れ果てたように、冷ややかなため息をついたのだった。
____四日前 ファクトリアにて
「ふーん、面白いこと考えるな、閣下は」
カーネリアンはワイングラスを傾けながら呟いたが、次の瞬間、妹のエルタが持っていたハリセンで頭を激しく叩かれた。
「姉さん、仕事を飲みながらやらないで下さい」
「はい……すみません」
「私がやりますから、姉さんは寝てください」
「分かったよ」
こうして、ファクトリアの技術主任・エルタによる、新たな装備の改造が静かに始まったのだった。
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あとがき
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