かくれんぼの途中、俊太が迷い込んだ山奥。
草木に埋もれたホーム。
錆びついたベンチ。
崩れかけた駅名標。
誰も使っていないはずの駅跡へ、レールのない草むらの向こうから、古びた電車が現れる——。
もう、絶対に乗ってはいけない。
そう思うのに、扉が開いた瞬間、その車内をのぞかずにはいられませんでした。
現在から切り離されたような廃駅の風景と、古い電車が運んでくる不穏な気配。
俊太が何に出会い、どこへ連れていかれるのか、怖さと好奇心に引かれて一気に読み進めました。
そして、すべてが終わったと思ったところで待っている、最後の一撃。
忘れられた場所には、誰にも知られないまま残り続けている記憶があるのかもしれません。
山の中で古いホームを見つけても、決して電車を待ってはいけない。
「行ってはいけない」
「乗ってはいけない」
そう思うほど、その先に何があるのか確かめたくなってしまう。
その好奇心が、一歩踏み込んではならない場所へ人を誘うからこそ、怪談はいつの時代も怖く、そして魅力的なのだと思います。
廃線、古い駅、鉄道怪談が好きな方に、ぜひ読んでほしい一話です。