2155年、企業都市の透明な硝子と冷たい海に囲まれた「関西第二出島」を舞台に、巨大企業の冷徹な謀略と現場の人間ドラマが描かれる近未来ディストピアSF。
圧倒的なクオリティです。企業の論理で静かに書き換えられていく「灰色の画面」、美しくも恐ろしい「所有とは失う準備を制度化すること」という思想、そして日常の宴の裏で忍び寄る『ネモの牧神』という異物めいた名……。静かな対話劇でありながら、どこをとっても計算し尽くされた情景描写と息をのむ緊張感に満ちあふれています。
キャラクターの魅力も素晴らしく、冷酷な構造と温かい現場の落差が物語をいっそう引き立てています。
大人の鑑賞に耐えるこれほど高度で重厚なサイバーパンクSFが、なぜもっと読まれないのか不思議でなりません。SF好きなら絶対に読むべき、圧倒的な完成度を誇る傑作です!