第1話への応援コメント
三人称の語り手でありながらも、俯瞰的ではなく一人称的な密着感があるようで、その視点の溶けあい方が、エッセイ的な質感と小説的な描写を両立させているのかなと感じて、なんというかすごくスタイリッシュな印象を受けました。
起きるまでのグズグズする時間の感覚、子供のお弁当を丁寧に作って自分のごはんは手抜きをする感じ、朝ごはんに関する家庭独自の決まり、メイクの手の抜き方の微妙な葛藤、パン屋に安いコーヒー目当てに寄るところ、仕事の価値の置き方、ビールのグラスを冷蔵庫で冷やしてあるところ。こういう環の細かい心理や行動の描写が、凄くリアルで、彼女の人となりが伝わってきました。これがキャラを立たせるということだなぁと、非常に感銘を受けました。
全体的に印象的だったのはタイトルでもある「あつさ」の描写でした。
蝉の声やキッチンのエアコンを入れる描写の時点で、聴覚や視覚から間接的に外の暑さを幻視する。
ドアを開けて現実的に熱気に包まれてうんざりする環や、汗水たらしてたどり着いた駅の冷房が効かないという情報でムワッとじめっとした、あの嫌な感じを肌が思い出す。
駅からパン屋までの一瞬の熱気の感じもすごく、なんというか記憶をくすぐられる。
帰り道のむんとする熱気も暑いはずなのに足取りが軽いのも覚えがあるし、最後に冷えたビールを喉が期待する感じが余韻として残ってすっと終わる。
この「あつさ」を軸にしてみた読書体験という意味では、環として没入してリアルに暑さを感じて、同じような気持ちになって環の人生の一部を体験するような感じ。これはすごく「西」的なのではないかなと、個人的には思いました。
情報がすごく整理されて伝わってくる「北」っぽい一面もありつつ、その実内容はとても「西」っぽい。結果として「北西」あるいは「西北西」なのかなという印象でした。
スタイリッシュで憧れる作品です。
第1話への応援コメント
こんばんは。
しっかりとした文芸作品だなと思いながら読ませて頂きました。
キャラクターの設定がちゃんとしていて、他の設定というのか描写が細かいなと思いました。
変化を書くのが確か北向きで、この作品は物語としてちゃんとしていると言いますか、
起承転結のことは、きちんと私は理解できていない気がするので書けませんが、真北な気がするのです。
ただ、わたしの感覚では、文体が個性的だなと感じるところもあり、
純文学の香りがしたので、北北西なのかもしれません。
>座って本を開けば集中してあっという間に最寄り駅で、そうだ、今日は鰻を買って帰ろう。そして冷凍庫に冷やしてあるグラスでビールを飲むのだ。
こんな風に終わるのはすごいな、素敵だなと思いました。
タイトルも、ひらがなだと可愛いなと思いました。
>夏にはうんざりだ。
という始まり方もいいなと思いました。
>ドアを開けると同時に、わっと蝉の声が押し寄せ、熱気が体を包む。
この描写も素敵です。
とても読みやすい作品でした。
作者からの返信
こんにちは。
しっかりした文芸作品との評、ありがとうございます。
北なきがするけど北西かもしれないとの評、ありがとうございます。
良いと思った箇所の抜粋も大変嬉しく、参考になります。
コメント、ありがとうございました!
第1話への応援コメント
日常のこだわりのようでこだわりのないような、でもこだわりがある一つ一つの積み重ねが、すんなり伝わって来て、追うのが楽しかったです。
一番印象的なのがすごく読みやすいってことなので、ここが方角を決めるのに北っぽいと感じました。なんとなく西は読みにくいと言うか、すんなりとは話の輪郭が入ってこない印象があるので。私の理解は怪しいですけども。なので北西あたりにあるかなと思いました。