顔がメロンで、好物はメロンパン。
しかも伯爵なのに、パイロット。
その時点でもう、「いったい何が始まるのだろう」と思わず笑ってしまいました。
空の旅へ出かけたメロン伯爵が、大好きなメロンパンを風にさらわれてしまう。
けれど翌日、そのメロンパンは、思いもよらない形で伯爵の前に現れます。
そんな小さな出来事を、語り手がこちらへ話しかけてくるような軽やかな文章で描いているため、読み終えたあとには自然と頬が緩みました。
そして、この作品で私が何より素敵だと感じたのは、物語が生まれたきっかけです。
「メロンパイロットをぜひ見てみたい」
作家同士の何気ない交流の中で届けられた一つの言葉が、想像を膨らませ、一つの作品になる。
作品を書くことで誰かと出会い、交わした言葉から、また新しい物語が生まれていく。
創作って、こういうところも素敵なんだな――と、改めて感じさせていただきました。
メロン伯爵が届けてくれる、かわいくて、ちょっぴり可笑しくて、とても優しい空の旅。
物語も面白い。そして——物語を生み出すことも楽しい。
短い物語の中に、そんな創作の喜びまで詰まった一作でした。
私の弟が海岸で食していたおにぎりは、無音の低空飛行をキメた「デキるトンビ」にさらわれました。
そして近所のお婆さんは、スーパー前の小さなベンチで、食べかけのシュークリームを拐かされたそうです。
当事者たちはびっくり仰天、聞いた私は大呆れ。
……それでも全員が「にっこりほっこり」してしまうのは、奪われたそのメシが、厳しい自然を生きる鳥たちのカテになったと、何とはなしに感じられるからでしょうか。
「いいことしたねえ^^」と言いたくなるような、不思議に温かな気分なんです。
この物語では、そんなある種の「触れあい」を追体験出来ます!
作者様の優しさが滲み出る、ほっこり100点満点のとても素敵なショートショート。
あなたもぜひ、この愛ある世界を覗いてみませんか?