この作品は、誰かを好きになることで、その人の見ている世界を知ろうとする気持ちを丁寧に描いた恋愛物語だと思います。
特に印象に残ったのが、耳の聞こえない真冬ともっと話したいと思った仁が、自分から手話を覚え始める場面です。真冬に自分へ合わせてもらうのではなく、自分の方から彼女の世界へ一歩踏み込もうとする。その行動そのものに仁の真っ直ぐな人柄が表れていて、二人の恋を自然と応援したくなりました。
もうひとつ印象的なのが、二人で出かけた花火大会です。人混みの中で真冬が仁の腕につかまり、一緒にリンゴ飴を食べながら花火を見るという何気ない時間の積み重ねによって、仁が自分の気持ちを「恋」だと自覚していく流れがとても自然に描かれています。
耳が聞こえないヒロインという設定も、単なる人物の特徴として置かれているのではなく、「どうすれば相手に想いを伝えられるのか」という、この物語そのもののテーマにつながっているところが魅力だと感じました。
二人ともまだ恋愛には不器用で、少しずつ距離を縮めている段階だからこそ、この先どのように互いを知り、関係を深めていくのかが気になります。
序盤までの紹介となりますが、仁の告白が二人の関係をどう変えていくのか楽しみに、これからも追いかけて行きたいと思います。
主人公の二神仁が、病院の帰り道で出会った耳の聞こえない女性・一ノ瀬真冬。
仁の「気になる」という小さな想いの灯火から、少しずつ二人の距離が近づいていく恋の物語です。
【少しずつ膨らんでいく想い】
もう一度会いたい。話したい。もっと知りたい。
恋愛経験のない仁の気持ちを追うことで、好きなあの人に向けて、そんなことを思ったなあと読み手の心にそっと波紋を広げます。
仁の初々しい姿を、自然と応援したくなりました。
【飾らない二人の関係】
スマホでのやりとり。そして手話のやりとり。
シンプルで飾らない交流だからこそ、二人の素直な想いがまっすぐ伝わり、読み手にほっこりとしたものを残していきます。
お互いが少しずつ距離を縮めていく姿が、とても温かく感じられました。
【心に残った名台詞】
――どんな手話でも、仁さんとお話したいです。
上手い下手ではない。
ただ、あなたと話したい。
それは仁も真冬も同じで、飾らない関係性を象徴するような言葉だと思いました。
初めての恋の甘酸っぱさと、少しずつ近づいていく二人を見守りたい。そんな方にオススメしたい作品です。