絵本を読んでいるような気持ちになる連作です!
パステルカラーの絵日記が、そのままページをめくるように広がっていきます。
10首連作はテーマの統一感が問われるジャンルです。
ここまで「クレヨン」を意識させる10首がきれいに並んでいるのは、まず単純にすごいって思いました。
ソフトクリームの白、真っ赤なほっぺ、ひまわりの黄色、カブトムシの緑と茶、川の青と魚の銀、夕焼け色のカレー、イチゴとブルーハワイのかき氷、金魚の紅と黒……一首ごとに色が変わっていくのに、全体としては一冊の絵日記のようにまとまっていて。色で表せば、全体を通して一つのパステル。それが心地よかったのです。
なにより、無邪気な少年少女の時代にすっと連れ戻される感覚がありました。眩しいのに、どこか懐かしい。過ぎ去った季節を思い出させる、ノスタルジックな読後感を感じさせてくれます。
そのなかで一番好きな歌を引用させていただきます。
「怪談のろうそく消えた田舎の夜(よ) じいちゃんばあちゃんの布団へと」
それまでカラフルだった夏の色が、ふっと闇に沈んで。日常の隙間に引き込まれそうで。でも、そこから安心できる布団の温もりへ戻っていく流れが本当に見事で。
――Never Ending Summer vacation
記憶の夏は、こんなにもパステルでカラフル。
一首目は「白と青」の爽やかな色合いと、ソフトクリームの甘くて冷たい味覚がいかにも「夏!」という感じで絵日記の最初のページに飾るにふさわしいし、なにより幸先の良さを感じます。
二首目も「真っ赤なほっぺ」と「おひさま」の情景の色と印象も明るくて、焦げ付きそうなほど暑いんだろうけれどそれも思い出になるんだろうなと微笑ましさを覚えました。
三首目は「ひまわり」のハッとするほど鮮やかな黄色が迷路を作るくらい一面に生い茂っていて、視界が覆われていて目も眩むほどなのだろうなと、そんな中で出会う運命にときめきます。
四首目は「みどり」と「カブトムシ」の茶色。豊かな自然にはぐくまれた生き物を「たからもの」と感じられる健やかな精神にほっこりします。
五首目は「オレンジ」と「青」と「銀」で、躍動感にあふれていました。
六首目は「夕焼け」みんなで一生懸命作ったカレーライス。うまく調理できたのか失敗したのかまではわかりませんが、どっちにしろ楽しかったという気持ちが最高の調味料となって笑顔でみんな完食したでしょう。それだけに「夕飯」ということはこの時間の「終わり」も近づいているということで、切なさをもにじませていて深い一首だと思いました。
七首目は「真っ赤」と「水色」で対照的な色。どっちも欲しい、欲張りさんな気持ちもわかります。めいっぱい楽しみたい、それは今が特別な時間だから。微笑ましいです。
八首目は「夜空」と「紅い」と「黒い」縁日の夜、このフレーズだけでわくわくとトキメキがあります。いつもは「早くお風呂に入りなさい」とか「食器が片付かないから早く食べて。テレビ消しちゃうよ」なんて言われている時間に「外に出て買い食いして花火を見ている」なんて、まるでちょっとした冒険に出ているよう。素敵です。
九首目は「ろうそく」ふふっとしました。きっと強がって「大丈夫」なんて言って参加したんだろうけれど。可愛かったですね。
十首目は締めの一首。これまでの短歌を振り返って。まさに「夏色」なクレヨンたちに彩られた本当に素敵な10首連作でした。まるで一緒に夏休みを過ごさせてもらったような気分です。
発表してくださってありがとうございます!
癒されました~。
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