ぬいぐるみという視点を通して描かれる「恐怖」が、とても新鮮で面白かったです。
前半は雷や暗闇、静まり返った家の描写が丁寧で、本当にホラーを読んでいるような緊張感がありました。ぬいぐるみだからこその無力さや、ご主人様を心配する優しさも伝わってきて、自然と感情移入できます。
そして、怪物だと思わせた正体が酔っ払ったご主人様だったという安心感から、最後の「うぷっ」で一気に笑いへ転じるオチは見事でした。恐怖の対象が「怪物」ではなく「吐かれること」という発想は、ぬいぐるみ視点だからこそ成立する秀逸なアイデアだと思います。
ホラーとコメディのバランスが心地よく、最後まで楽しく読ませていただきました。