ショッピングモールの火災という緊迫した状況から物語が始まり、「顔も名前も知らないけれど、命を救ってくれた声だけは覚えている」というシチュエーションが秀逸。徹底した男嫌いのギャル・御影芹奈と、彼女を救った少年・相庭直希、この二人の距離がどう縮まっていくのかを、じっくりと読ませる構成になっています。
全体的に感情描写がとても丁寧です。10代特有の複雑な心情や、恐怖、安堵、喜びといった瞬間ごとの感情の機微が細やかに書き込まれており、まるで映画を観ているような没入感があります。派手な展開よりも、じわじわと近づいていく二人の関係性を味わいたい方、感情移入して物語に浸りたい方におすすめです。