第一章まで拝読しました。
かつて勇者だった男が、今は魔王に仕える暗黒騎士となり、「勇者を殺せ」という使命を与えられる。
この時点でかなり重い物語を想像しますが、そんなハルトの従士となるのは、犬耳の治療士アイラと猫耳の魔術士フレヤ。
天然気味なアイラと強気なフレヤに振り回されるハルトとの掛け合いが楽しく、ハルトの性格も暗すぎないのでシリアスな世界観とのバランスが絶妙です。
一方で、ハルトがなぜ元勇者でありながら魔王側にいるのか、過去の戦争で何が起きたのかなど、第一章から気になる謎もしっかり提示されます。
「勇者」「魔王」「暗黒騎士」という王道の題材を使いながら、単純な善悪では割り切れない背景が見えてくるのも魅力。
重厚なファンタジーと、個性的なキャラクターたちの賑やかな旅の両方を楽しみたい方におすすめです。
この作品、いい意味で王道ファンタジーのテンプレをことごとくひっくり返してきます。
暗黒騎士。勇者。聖女。魔王。などなど。
こういう肩書を見れば、だいたい想像できるじゃないですか。
――全然あてになりません。
むしろ読み進めるほど、
「え、実は○○だったの!?」
の連続。
人物の正体だけでなく、過去の戦争や勇者、聖剣、怪物たちまで、序盤からとにかく伏線が多い。
そのため、かなり先まで読んでも展開が読めません。
続きが気になる、気になる。
なのに、中盤以降になると、それまでバラバラに見えていた謎が一気につながり始める。
「あれもここにつながるのか」
「じゃあ、あの時のあれって……」
と、次々に意味が変わっていく様は圧巻です。
特に冒頭のプロローグ。
最初に読んだ時と、いくつもの真相を知った後で読み返した時では、まるで印象が違います。
何気なく見えていた描写が、後からかなり強烈な意味を持ってくる。
本当はもっと早くレビューを書こうと思っていました。
でも、書けない!
少し読み進めるたびに新しい事実が出てきて、
「いや、もう少し読んでから書こう」
となる。
そして、また読む。
その繰り返しでした(笑)
展開自体はかなりダークです。
そんな重たい物語の中で、ハルト、アイラ、フレヤのコミカルな会話が、ちょうどいい息抜きになっています。
ただし、それだけがこの作品の魅力ではありません。
読み進めていくと、だんだん一つの問いが浮かんできます。
――勇者って、何なんだろう。
勇者と呼ばれているから勇者なのか。
聖剣を持っているから勇者なのか。
誰かに選ばれたから勇者なのか。
それとも、
誰かに命じられなくても、
誰にも褒められなくても、
目の前の誰かを助けようとする人間こそが勇者なのか。
暗黒騎士と呼ばれながら、
何度も誰かを救おうとするハルトを見ていると、
もう言いたくなります。
いや、あんたが一番の勇者だよ、暗黒騎士くん。
この作品の魅力は、かつての勇者が敵国の暗黒騎士となっているという設定を軸に、「英雄とは何か」「正義とは誰から見たものなのか」を丁寧に描いているところだと思います。
特に印象に残ったのが、物語冒頭でハルトが犬耳の治療士アイラを助ける場面です。今では暗黒騎士と呼ばれる存在でありながら、目の前の命を迷わず救う。その行動によって、過去に何があったのか分からなくても、ハルトという人物の本質が自然と伝わってきます。
もう一つ印象的だったのが、ゲルシア王家の血を引くフィーネと、その兄ギーゼルのエピソードです。妹を生かすため自らを犠牲にしようとするギーゼルを、彼が憎んでいる「祖国を捨てた勇者」本人であるハルトが、正体を明かさず救う構図がとても面白いです。
また、民衆から支持される聖白騎士団にも裏の顔が見え始め、単純に魔王側と人間側を善悪で分ける物語ではないことも分かってきます。立場や肩書きではなく、その人物が何を考え、何を選択するのかによって人物像を描いている点に、この作品の芯があるように感じました。
過去の戦争で何が起き、なぜ勇者だったハルトが暗黒騎士になったのか。その謎と現在の事件が少しずつ結びついていく構成にも、物語の広がりを感じます。
序盤までの紹介となりますが、この先ハルトの過去と十年前の戦争の真相がどのように明かされていくのか、これからも追いかけて行きたいと思います
王道ダークファンタジーの格好よさと、犬耳・猫耳ヒロインによるラブコメの軽快さが絶妙に噛み合っていて、かなり読みやすいです!
特にハルトが、寡黙な暗黒騎士から「元勇者」「呪いと機械の身体」「残された時間を知る男」へと掘り下げられるほど魅力が増していきます。
アイラの「救われた側から救う側へ」という構図も美しく、フレヤも父や猊魔戦争との因縁が判明して一気に厚みが出ています!
何気ない古い杖まで後から意味を持つ伏線も上手い。三人が異なる目的を抱えながら、すべて十年前の猊魔戦争へ収束していく構成が強く、旅立ち後がかなり楽しみな作品です!
かつて滅亡した国ゲルシアの「勇者」であり、今は魔王に仕える暗黒騎士となったハルトは、魔貴族院から、ゲルシアの残党を率い「勇者」を名乗る人物を討つよう命令を受けます。
まず惹かれたのは、勇者だった男が魔王の騎士になるという設定です。
これだけでも強く引き込まれますが、ハルトが過去の戦争によって深く傷ついており、自身の過去と向き合っていく展開にも魅力を感じました。
ハルトの従士となるアイラの天然っぽさと、フレヤのツンツンした性格も面白く、ハルトが自然とツッコミ役に回されてしまうところには何度もクスッとさせられました。
可愛らしい治療士と炎魔術士の少女、それぞれの個性も魅力的で、重い過去を抱えたダークファンタジーでありながら、ほのぼのとした日常やコメディがからむことで、読んでいて心地よさを感じます。
第一章を拝読した時点での感想になりますが、十年前の戦争で何が起きて、ハルト自身の運命にどうつながっていくのか、今後の展開がとても気になります。
シリアスな物語とコメディの両方を楽しめる、読み応えのあるダークファンタジーです。
ハルトがデュラハンからアイラを救い、その後「自らを『勇者』と名乗る首魁を殺せ」と命じられ、さらにデュラハンは本来すべて討伐されたはずだった、という話まで出てきたので、最初は重い物語として始まるのかな?と思いました。
でも、フレヤの手紙のあたりから少しずつ空気がやわらぎ、アイラがハルトの家を訪ね、さらにフレヤまで従士として加わってからは、物語が一気ににぎやかになりました。従士任命状が二枚になり、ハルトがまるで遠足の引率だと頭を抱える場面も面白かったです。(私はこういうキャラクター同士の掛け合いや関係性が好きなので、特にアイラが「わ、私もできるんですけど……」みたいな感じで話す姿がとても可愛かったです!)
デュラハン、亡国ゲルシア、「勇者」、合唱魔術など、まだ不穏で気になる要素も残っています。三人のにぎやかなやり取りと、その裏でどんな物語が動いていくのか、期待しながら読みました。これからの三人の冒険も楽しみにしています!