壊れた品に残る“魂の声”を聞く修繕師アシュタンは、閉鎖されていた青鈴消防署の再開に巻き込まれ、派手で勢い任せな消防卿アブドライムと衝突しながらも、道具や人の心を少しずつ直していく。
火の鳥を作れば鰹節になり、避難矢印は魚の骨になる――
そんな壊滅的センスが、煤けた資料室へと導いた瞬間から、十年前の空艇事故の“置き去りにされた声”が動き始める。
燃えない青い火、偽物の防火布、映画批評紙に隠された恋の暗号、届かなかった恋文。
アシュタンと青鈴消防署の仲間たちは、事故を美談にも悲劇にもすり替えず、ただ正しい場所へ声を戻すために奔走する。
不格好な恋心も、傷ついた信頼も、壊れた道具も――
一つずつ丁寧に修繕していく温かな群像劇。