第3話 春と冬

 部屋のカーテン越しに朝日が差し込む中、悠人は遠くから聞こえたような声で目覚める。


『ぃちゃん』


悠人「んん……ん?」


『にぃちゃん』


悠人「ん?」


ハル「お兄ちゃん、起きて。朝ごはん出来たよ」


悠人「!!?」


 しっかり目を開いた瞬間、目の前にはハルの顔。

 ベッドで高速の寝返りを打つ。心臓は早鐘を打つ。


悠人『近っ!!』


 ハルは容赦なくカーテンを開け、悠人に太陽の光を浴びせる。

 心地良いとはいえない太陽光の熱から逃げる為にベッドを転げる。

 急激に目覚めのスイッチが入る悠人。


悠人『俺は、どこのドラキュラだよ』


悠人「わかった。すぐ着替えて降りるから」


ハル「うん」


 ハルが部屋を出て小さく溜息をつく悠人。


 ハルが奇妙な同居人になって1週間。

 毎朝規則正しく、決まった時間に起こされ、彼女が作った食事を食べて学校に行く。

 昼は彼女が作った弁当を食べ、夜は彼女の作った食事を食べ、決まった時間に寝る。


 非常に健康的な生活を送っている悠人。



===以下、ハルが初めて悠人の家に来た日の回想===


 悠人が食べていたカップ麺を凝視するハル。


悠人「あの、ハルさん? そんな怖い目をしてどうしましたか?」


ハル「それ」


悠人「カップ麺。食べる?」


 それまでの微笑みや笑みはどこへやら。

 じっとりとした厳しい目線が悠人とカップ麺を捉えたまま離さない。


ハル「毎日食べてるの?」


悠人「そうだけど。あぁ、たまに自分で何か作るけどね。でも基本面倒だし」


ハル「ダメ」


悠人「え?」


ハル「明日から私が作るから、悠人はそれを食べて。じゃないと、また熱中症で倒れちゃうよ」


 栄養不足と言いたいらしい。

 倒れかけたことを言われると反論できない。


ハル「いい? お兄ちゃん」


悠人「お兄ちゃん?」


ハル「? コンビニで妹って言った」


悠人「だから、あれは方便で」


ハル「言った」


悠人「はい」


ハル「ご飯は?」


悠人「食べます」


===以上、回想===



 それからだ。この奇妙な共同生活が始まったのは。

 ハルは毎日、母親の部屋にあるゴシックドレスを日替わりで着て、楽しそうに家事をしている。

 大昔から一緒に暮らしてきた妹のように振る舞い悠人に世話を焼く。


悠人『何なんだろうな。この生活。ってか、あの日以来、ハルがご飯を作ってくれているけど』


 ハルとテーブルを挟み、彼女が用意してくれた朝食を食べる。

 味噌汁を一口飲む悠人。


悠人『うっす……』


 ハルをちらりと見ると、彼女はにこやかな笑みを浮かべて朝食を食べている。


悠人『ありがたいけど、もう少し濃い味が、ね』


 でも言わない。言えない。

 悠人は数日前のことを思い出す。



===以下、数日前の日曜日の朝の回想===


悠人「なぁ、ハル。毎日ご飯を作ってくれるのはありがたいんだけどさ、味、薄くないか?」


ハル「そう? お兄ちゃんの体格から考えると、これが理想的な配分だと思うんだけど」


悠人「味噌汁とか、もう少し濃くしてもらえると」


ハル「塩分の取り過ぎは、めっ! だよ。お兄ちゃん、少しは体のこと気にしないと」


悠人「それはそうだろうけどさ」


ハル「17歳の男性が1日に必要とする塩分の目標量を知ってる? お兄ちゃん、放っておくとかなり多く取っちゃうでしょ? カップ麺の塩分は平均で5g前後。2回食べたらオーバーしちゃう。そうそう。今は暑いから、水分補給はしっかりね。水分以外に電解質の――」


 その後もつらつらと喋り続けるハル。


 奇妙な共同生活が開始されて数日。

 さすがにそこまでしてほしいとは頼んでいないということもあり、日に日に溜まる不満を抱えていた悠人。

 自分の家なのに自分の自由にならない。

 今まで両親からすらも言われたことのないことを毎日言われ続け、イライラが募る。


悠人「ハルはさ、なんでそんなに俺のことを気にかけてくれるんだ?」


ハル「お兄ちゃんだから」


悠人「違うよな? いや、おかしいと思う。そもそも、俺は君が帰るべき場所に早く帰したいと思ってる」


ハル「今は、ここが帰る場所だよ」


悠人「今は、な。けど、いつまでもここにいるわけにはいかないだろ」


 最推しの見た目をしている、という力もそろそろ通じない。

 はっきりさせるべきことははっきりさせるべきだ。


悠人「どこから来たか、まだ思い出せないのか?」


ハル「うん。新幹線に乗ってるところからしか、覚えてない」


悠人「苗字とかも?」


ハル「わからない」


 警察というと拒絶されると考え、敢えて言わない。


悠人「そうか」


 少しぶっきらぼうに悠人が言うと、ハルはうつむき気味に言う。


ハル「ねぇ、悠人は私がここにいると迷惑かな?」


悠人「それは――」


 大迷惑に決まっている。

 と言いたいのに言えない。


悠人『くそっ、なんで言えない。さっさと言って追い出してしまえばいいだろうが』


悠人『行き当たりばったりに出会っただけの子だ。俺には何の関係もないんだから』


悠人『元の平穏な日常が戻るだけ。それだけのこと』


 なのに――


悠人「ハルがどこから来たのか、俺も調べてみるから。家が見つかるまでの間だからな」


ハル「うん」


 暗い雰囲気になってしまった。

 こうなるのが嫌で黙っていた悠人だったが。


悠人「君は、"どこの誰なんだろうな?"」


 溜め息混じりに言ってしまった。

 この一言を発した直後に後悔した悠人だが、すぐ謝ろうとハルに目を向けると。

 彼女は無表情でじっとテーブルを見つめていたかと思うと、ふっと視線を悠人に向けて無機質にも思える声色で言った。


ハル「私は、その答えを定義するための情報を持っていません」


===以上、日曜日の朝の回想===



悠人『あの朝のこと、ハルが気にしている様子はないけど』


 世話を焼かれ過ぎて、束縛されているような気がすることについてイライラが消えたわけではない悠人。

 同時に、彼女がたまに見せる異様な振る舞いがどうにも引っかかる。

 じっとハルを見つめて味噌汁を飲む。


悠人『とにかく、この子がどこから来た誰なのかはさっさと突き止めないとな』


ハル「お兄ちゃん、どうしたの?」


悠人「え?」


ハル「私の顔、何かついてる?」


悠人「あぁ、違うよ。色々考えごとしてただけ」


ハル「レンリのこと? 昨日も夜、アーカイブ見てたよね。昔のネットライブの映像」


悠人「はい?」


 寝る時間にうるさいから、ベッドの中に隠れてスマートデバイスで視聴していた。

 そこまで監視されているのかと一瞬恐怖を覚え表情をこわばらせる悠人。


ハル「視聴履歴。リビングのテレビに全部表示されてるよ。アカウント同じなんだから」


悠人「なるほどね。って、チェックし過ぎ。監視されてるみたいで落ち着かないよ」


ハル「監視…… うぅ、それは、ごめんなさい」


 悠人は驚く。

 彼女が謝ったのを初めて聞いた。


悠人「あぁ、その」


悠人『えぇい! 推しに見た目がそっくりというのはこうも!!』


 自分が推しを悲しませたような気分になって落ち着かない。


悠人「ほどほどにな」


悠人「ごちそうさま」


 悠人はそう言って席を立つとカバンをもってリビングの出口に向かう。


悠人「それじゃ、学校行ってくるよ。今日も留守番してろよ?」


ハル「うん。気を付けて、いってらっしゃい」


 悠人が扉を出ようとしたときにハルが言う。


ハル「お兄ちゃん」


悠人「ん? どうした?」


ハル「あの。ううん、何でもない」


悠人「? じゃ、行ってくる」


ハル「うん。また後で☆」


 満面の笑みを浮かべるハルを見て不思議に思いつつ、それが推しの笑顔にも見えて見惚れてしまう。

 悠人はすぐ振り返り学校へと向かった。



 通学路にて。


悠人『1週間、ハルについて調べてみたけど何もわからなかったな』


悠人『警察には捜索願いも出て無かったし、ネットで調べてもニュースを見ても情報は無し。というか、ニュースはハルにチャンネル奪われて見られないしな』


悠人『何か手掛かりになるような話を。そろそろ、自宅に缶詰ってわけにもいかないだろう。でも誰かに知られたら――』


「よう! 悠人じゃねーか!」


 考えごとをしていた悠人は驚いて振り返る。

 そこには顔なじみの宅配業者のおじさんの姿があった。

 おじさんは周囲を気にする素振りを見せつつ、耳打ちするように悠人に言う。


宅配のおじさん「お前、最近女の子と一緒に暮らし始めたのか?」 


悠人「なっ!! なんで……、それを?」


宅配のおじさん「この前、お前のとこに荷物を持って行ったんだ。珍しく対面受け取り必須になってるから不思議だったが、チャイム鳴らしたら中から女の子が出てきて。びっくりしたぞ」


宅配のおじさん「お前も隅に置けねーな!」


悠人「そ、そういうんじゃないですよ」


宅配のおじさん「安心しろ。誰にも言ってねーから」


 おじさんはそう言って、にやにやした顔のまま走り去っていった。


悠人『はぁ、時すでに遅し。知られてんじゃねーか』


悠人『ってか、対面の荷物? 頼んでないぞ。ハルが何か頼んだのか?』


 新たな悩みを抱えたまま登校し、教室へ。

 自分の席に着いたあともずっとハルのことを考える。



悠人『とにかく、周囲に隠せなくなってきている以上は早急に手を打たないと』


 担任の先生が教室へ入る。


担任の先生「えー、早速ですが。今日はみんなに新しいクラスメートを紹介します。」


悠人『手を打つというか、もっと深く調べないとダメか。しかしどうやって? こんなことをネット掲示板で聞くこともできないし。SNSで拡散なんてもってのほかだ』


 担任の話に湧き立つクラスメートを他所に、悠人はまるで興味なく物思いに耽る。


担任の先生「では、教室に入ってください」


悠人『素直に父さんと母さんに言うか。いや、でも前の感じだと聞く耳持たれないかもしれないしな。それでいいのかよ、親』


 教室の扉が開き、新しいクラスメートが入る。

 その瞬間、なぜか教室が静まり返る。

 そしてその生徒が教壇の隣に立つ。


悠人『結局、どんだけ考えても打つ手は無しか? もう一度ネット掲示板とかで情報を探したり、最近の新聞を調べて――』


新しいクラスメート「皆さん、初めまして。今日から皆さんと一緒に勉学に励みます、"一ノ瀬 春" です。宜しくお願いします」


 聞き慣れてしまった声に悠人は耳を疑って声を漏らす。


悠人「は?」


 悠人はハルが朝言った一言を思い出す。


悠人『"また後で" ってそういうことか!!』


 どっと湧き立つ教室。


クラスメート男子A「うっわ、すっげぇ可愛いくね?」

クラスメート男子B「まじかよ。大当たりじゃん」

クラスメート男子C「おい、あの子に似てない? 昔いたじゃん」

クラスメート男子B「レンリだろ? 思った思った」

クラスメート男子C「そうそう、その子。本人だったりしてな(笑)」

クラスメート男子A「ばーか、レンリはバーチャルアイドルだろ。いるわけねーよ」


クラスメート女子A「えぇ~可愛い~。どこから来たのかな? 転校?」

クラスメート女子B「わぁー! すごーい、レンリそっくりー! あとで話に行こ!」


 悠人は周囲の湧き立ちようを見て肝を冷やす。


悠人『まずい。ハル、頼む。絶対に学校ではあの呼び方で呼ぶなよ? 他人、他人、OK?』


 悠人はハルへ、じっとアイコンタクトで念を送る。

 一瞬、ハルと目が合う。


担任の先生「はい、自己紹介ありがとう。では一ノ瀬さん、後ろの空いている席に座って」


ハル「はい」


 ハルが悠人の席に近付いてくる。


悠人『頼む、そのまま通り過ぎろ。通り過ぎてください』


 顔を逸らし、知らない人の振りをするが、ハルは悠人の席の横でぴたりと足を止める。


ハル「今日からよろしくね、お兄ちゃん☆」


 悠人の顔から血の気が引いた。

 沸き立っていた教室も凍り付いたように静まり返る。


 ハルが席に座った後、クラスメートのささやきが広がる


クラスメート男子A「おぃ、あいつの妹かよ? でも同じ学年?」

クラスメート男子B「双子じゃね? いや、似てねぇ(笑)」

クラスメート男子C「やめろよ。あんな根暗と一緒にしちゃ春ちゃんが可哀想だろ(笑)」


悠人『まずい…… 俺の平和な日常が…… 目立たないようにやり過ごした日々が』


 苦み走った表情を浮かべながら、恐る恐る後ろの席へ振り返る。


ハル「♪♪~」


 満面の笑みを浮かべて小さく手を振るハル。


クラスメート女子A「うっそー! 一ノ瀬君の妹?」

クラスメート女子B「ありえないって(笑)」


悠人『こうなったら仕方ない』


 悠人はこれから地獄のような学校生活が始まることを覚悟した。

 と、ふいにハルの近くに座る一人のクラスメート女子が目に入る。


 ハルを凝視したまま、酷く困惑した表情で、まるで怯えている風にも見えた。


悠人『白群びゃくぐん?』


 明らかに様子がおかしかったが、その場ではとりあえず気にせず前を向く。

 ホームルームが終わり、悠人はさっそくハルの席に向かい、小声で言う。


悠人「あの呼び方はここではまずいって。目線で伝えたろ」


ハル「? どうして? お兄ちゃん☆」


悠人「あのなぁ」


ハル「ここでもそう呼んで欲しいって視線だと思った」


 ハルが言うと、またクラスメートのひそひそ話が始まる。


クラスメート女子C「やだぁ~。一ノ瀬君、もしかしてそう呼ばせてるの?」

クラスメート女子D「まじでぇ? そういう趣味なんだ?」


悠人「とにかく、学校ではその呼び方は禁止だ。良いな?」


ハル「うーん、分かった。悠人」


クラスメート女子C「名前呼び! ねぇ、あの二人付き合ってるんじゃない?」

クラスメート女子B「苗字同じだし、結婚してたりして(笑)」

クラスメート女子A「早い早い(笑)」

クラスメート女子D「あはは、ウケる。男子ざまぁ(笑)」


 居心地の悪さを覚えつつ、悠人は自分の席に戻る。

 悠人がハルから離れた瞬間、彼女はクラスメートの女子に囲まれて姿が見えなくなった。


 悠人の席に一人のクラスメートがやってくる。

 先ほど困惑した表情でハルを見つめていた女子、白群びゃくぐん 柊香とうかだ。


柊香「ねぇ、一ノ瀬君。最初の授業、準備があるから手伝ってくれない?」


悠人「理科だろ? 何かあったか?」


柊香「先生に教材を運ぶように言われてるの。荷物持ち」


悠人「他の奴に頼めよ。俺は忙しいんだ」


 悠人が言うと、柊香は耳打ちするように小声で言う。


柊香「レンリの非売品グッズ、興味ない?」


悠人「行きます。行かせてください」


 二人揃って教室を出て、理科準備室へ向かう。

 理科準備室にて。


悠人「持っていく教材ってどれだ?」


柊香「無いわよ」


悠人「は?」


柊香「そんなの頼まれてないの」


悠人「手伝ってって嘘かよ? なんで」


柊香「あの子は誰?」


悠人「唐突だな。あの子ってハルのことか?」


柊香「そう、随分親しい仲みたいね」


悠人「ってか、お前ほとんど俺に話し掛けてきたこと無いだろ。なんでそんなこと聞くんだよ」


 柊香は悠人の耳元に顔を近付けて言う。


柊香「レンリの非売品グッズ、欲しいんでしょ? お兄ちゃん?」


悠人『ちっ、何なんだよ。こいつ』


 グッズには代えられない。黙って従う。


悠人「で? なんでハルのことを聞きたいんだ?」


柊香「もう一度聞くわ。あの子は誰?」


悠人「こっちが聞きてぇよ。正直、俺にも何が何だか」


柊香「はい? 何それ」


悠人「あー、もう。何て言えば良いか」


 悠人はこの1週間の出来事を簡単にまとめて柊香へ伝える。


柊香「ふーん。思ってたより何も知らないのね」


悠人「だからこっちが聞きたいって言っただろ? ところでお前、あいつを見て随分血相を変えてたけど、なんでだ?」


柊香「それは……」


 口ごもった柊香を見て、悠人は追求を強める。


悠人「お前こそ、ハルについて何か知ってんじゃないのか? わざわざ嘘までついて俺をここに連れ出したくらいだからな」


柊香「知らないから聞きたかったのよ。話は終わり。戻りましょう」


悠人「あ? おぃ、まだ話は―― あとレンリのグッズ!」


 理科準備室を出ようとする柊香が振り返って言う。


柊香「そんなもの、あるわけないでしょ? 本っ当に単純な人」


悠人『腹立つなぁ!』


 悠人は柊香を睨む。


柊香「レンリのグッズは無いけど。でも、素直に話をしてくれたから協力してあげるわ。あの子のことを調べるの」


悠人「本当か?」


柊香「ここで嘘を言っても仕方ないでしょ。とりあえず、放課後もう一度ここで」


 二人は教室に戻る。

 ハルは相変わらずクラスの女子に囲まれたまま。


 悠人が席に戻ると、普段は口も利かないクラスメート男子が何人か近寄ってくる。


クラスメート男子A「いよっ!! 高飛車女と何の話してたんっすか?」

クラスメート男子B「愛の告白!?」

クラスメート男子C「まじか! でもお似合いじゃん。根暗と高飛車でさ!(笑)」


悠人「お前ら、何か別の話があるんじゃねーの? どうせ、あの子のことだろ?」


クラスメート男子B「正解っす! ぱねぇっす!」

クラスメート男子A「お前さ、春ちゃんとどういう関係なわけ?」


悠人「別に。話すことないだろ」


クラスメート男子C「くぅ~、かっけぇ!! 別に(キリッ)、だって(笑)」


悠人「用が無いなら席戻れよ。授業始まるぞ」


クラスメート男子A「あ? 調子乗んなよ。用があるから来てやってんだろ? 春ちゃんの連絡先教えろよ。知ってんだろ?」

クラスメート男子B「後生です! 後生!」


悠人『そのまま、あの世に行けよ』

悠人「知らねぇ。本人に聞けば良いだろ」


クラスメート男子A「見りゃわかるっしょ。近付けねぇから聞いてんの」

クラスメート男子B「あいつら、俺らを近付けたくないから壁作ってやがる」

クラスメート女子D「ちょっと、男ども。聞こえてるぞ!」

クラスメート男子C「おぉ怖っ。あぁ~俺らもあんな怪獣みたいな女じゃなくて、春ちゃんや、レンリちゃんみたいな子に近付きてぇ~」

クラスメート女子C「誰が怪獣だよ! てめぇら、はっ倒すぞ」

クラスメート女子A「ごめんね、春ちゃん。あいつら無視して良いから」

クラスメート男子B「あ? 勝手に話決めんな」


 女子が隙間を空けた向こうにハルの姿が見える。

 満面の笑みで女子と会話を楽しんでいるらしい。

 男子が揃いも揃ってハルに笑顔で手を振っているが、それは視界に入ってないと見える。


 悠人は大溜息をつく。

 これからこんな状況が毎日続くことになる。

 イライラを通り越した諦観の面持ちで授業開始のチャイムを聞く。


 チャイムを聞きながら、ふと先ほどの話が気になり柊香へ視線を向ける。


悠人『!!』


 悠人は背筋に寒いものを感じる。

 視線の先では、睨みつけるような視線をハルに送る柊香の姿があった。



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キミの答えは、たぶん間違っている Limaria(リマリア) @limaria_novel

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