普段なら何気なく終わる出来事が、この作品では優しい物語になっていました。足を失った蚊を見て手を止める主人公。その一瞬の迷いと優しさが自然に描かれていて、読み終えたあとも心に残ります。「ラズベリー色」という表現や、最後の虫刺されの描写も印象的で、夏の静かな空気を感じられる一編でした。小さな命との、たった一度の出会い。そんな何気ない瞬間を大切に描いた、優しい物語でした。